講談社、Amazonの一方的な配信停止に抗議 書籍・雑誌の定額見放題サービスで

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出版大手の講談社は、2016年10月3日、Amazonの日本子会社アマゾンジャパンが運営する電子書籍「Kindle Unlimited」から同社タイトルの全てが配信停止となったことについて意見表明を発表した。講談社はアマゾンジャパンの対応について強く抗議するとしている。
「Kindle Unlimited」は、8月3日にアマゾンジャパンがスタートした書籍・雑誌の定額見放題サービスである。月額税込980円で、日本語の書籍12万冊以上、洋書120万冊以上が読み放題になることを売りにしていた。なかでも雑誌やマンガは目玉のひとつになっており、当初マンガは3万冊以上を提供していた。

しかし、配信開始から数週間で多数の人気作品が対象作品から除外されたことが話題になっていた。人気作品の除外は、「Kindle Unlimited」内での閲覧数がアマゾンジャパンの当初の見込みを大きく上回ったためと見られている。定額見放題サービスであっても、閲覧による出版社への支払いは同様であるためだ。
講談社もサービス開始当初、1000以上の書籍、雑誌を「Kindle Unlimited」に提供していたが、やはり十数タイトルが配信停止となっていた。講談社はこれをアマゾンジャパンの事情による一方的な処置として同社に強く抗議、現状回復を求めていた。これに対して、アマゾンジャパンは、9月30日にさらに講談社の全作品を「Kindle Unlimited」で配信停止とした。講談社がこれに対して遺憾と、強い抗議を公表する事態になっている。

映像配信の定額見放題では、2012、3年頃より急速に普及し、現在では数多くの利用者がいる。そうしたなか次の定額課金型のビジネスとして書籍・雑誌が注目されていた。書籍のネット通販や電子書籍販売で大きなシェアを占めるアマゾンジャパンが、これにいち早く乗り出した。
しかし、前例のない中でのビジネスのスタートで、当初、採算ラインの設定を見誤ったとみられる。しかし、アマゾンの書籍販売のシェア、とりわけネット販売、電子書籍販売における占有率の高さを念頭に置けば、今回の行為は独占禁止法に定める不公正な取引に該当しかねない。リスクの大きな行動だ。

映像配信の定額見放題では、作品の契約が一年単位で見直されることが多く、配信開始から1年でライナップから姿を消す作品も少なくない。映像と出版ではジャンルは異なるが、わずか2ヵ月足らずで配信タイトルからの削除は異例だ。
当初3万タイトル以上としていた「Kindle Unlimited」のマンガのタイトル数は10月3日現在で2万4000を下回っている。講談社の作品以外にも多数のマンガが配信タイトルから削除されていることが分かる。

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