
国内AI研究・開発の有力企業Preferred Networks(PFN)が、2025年4月30日までに新たに50億円の資金調達をした。2024年12月までに実施された190億円の資金調達と合わせて、これまでに240憶円を調達したことになる。
今回の調達では金融機関に加えて、出版大手の講談社、アニメ製作の東映アニメーション、TBS系のベンチャーキャピタルとコンテンツ・エンタテイメント系の出資が目立った。具体的には講談社、東映アニメーション、TBS、積水ハウス、三井住友信託銀行、三菱UFJ信託銀行が第三者割当増資で出資、みずほ銀行が新たな融資をする。
PFNは2014年の設立から10年に満たないが、深層学習などの最先端技術の実用化で急成長をしている。AI分野で日本を代表する企業とみなされている。短期間での巨額の資金調達は、この実績と期待を反映したものだ。
調達資金は今後、競争力の高いAI技術の開発と提供に投資するとしている。AIソリューションから生成AI基盤モデル、計算基盤、AI半導体といった垂直統合が出来る強みを活かす。
コンテンツ系企業の出資目的もAIにある。東映アニメーションは今回の投資で、PFNのAI技術力に同社のアニメーション制作ノウハウを掛け合わせる協業を進める。AIの導入による業務効率の改善を目指す。
すでにPFNとは2021年よりに背景美術制作支援ツール「Scenify」の開発に取り組んでいる。今回の出資はこれをさらに進めたかたちだ。今後はPFNとの合弁会社設立も視野に入れている。
講談社はPFNの技術と編集力や発想の融合によるコンテンツの可能性の拡張、TBSも自社グループのコンテンツ創造力と技術を掛け合わせた革新的な映像表現の創出や制作プロセス効率化の実現を目指すとしている。作品づくりの現場におけるAIの活用が、深まりそうだ。