メディアドゥ、赤松健氏が創業「マンガ図書館Z」を子会社化 講談社も出資

マンガ

 絶版マンガの活性化と、海賊版マンガに対抗することを目指して運営する「マンガ図書館Z」の経営が大きく変る。2018年7月10日、「マンガ図書館Z」の運営会社Jコミックテラスは、主要株主の変更を発表した。
 同社の最大株主であったGYAOは所有株式の全て(発行済株式70.5%)を、メディアドゥホールディングスに譲渡した。また新たに出版大手の講談社も、Jコミックテラスに出資する。メディアドゥ、講談社と共に赤松氏は引き続き株主にとどまり、代表取締役会長にも変更はない。

 Jコミックテラスは、2010年に人気マンガ家の赤松健氏がスタートしたプロジェクト「Jコミ」がもとになっている。当時、急激に拡大しつつあった電子書籍の登場で起こっていた問題を解決することを目指していた。
 電子マンガの普及、インターネットを活用した絶版マンガの活性化、海賊版に対抗する正規サービスと様々な面を持つ。電子書籍の一般化や、新しい仕組みの牽引役を果たしてきた。
 2014年にサービス名を「絶版マンガ図書館」に変更、さらに翌年には「マンガ図書館Z」に変更し、全事業を赤松氏とGYAOが共同設立したJコミックテラスに移管していた。

 今回の株式譲渡で、GYAOは「マンガ図書館Z」の事業から手を引くことになる。国内最大級のポータルサイト ヤフーのグループ会社であるGYAOとの提携でさらなる発展を期待されていたが、十分な成果が出せなかったとも言える。
 ヤフーは2016年9月に、電子書籍サービスの有力会社イーブックイニシアティブジャパンを子会社化している。グループ内の事業重複も、今回の判断につながったかもしれない。

 一方メディアドゥは、電子書籍関連の総合企業として躍進を続ける。出版デジタル機構、マンガ新聞、アルトラエンタテインメントなどを次々に子会社化している。電子書籍の取次業務では、出版デジタル機構を含めて国内最大シェアを握る。
 Jコミックテラスをグループ会社化することで、これまで弱かった自社による電子閲覧サービスを強化することが出来る。電子書籍サービスのラインナップもより充実する。
 講談社にとっても、赤松氏が開発した「マンガ図書館Z」の独自のサービスは魅力的だ。電子出版の強化だけでなく、過去作品の再活性化やファンコミュニケーションを重視した運営などの独自のサービスは出版社の新たな方向性として連携しやすい。

 「マンガ図書館Z」は、IT企業から出版社、電子出版サービス企業へとパートナーを変えることになった。新たな選択が、新たな飛躍をもたらすのか。ますます競争が激しくなっている電子書籍サービスで、「マンガ図書館Z」がどのような存在感を発揮するかも含めて注目される。

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