文化庁長官表彰に ぴえろ創業者の布川郁司氏

布川郁司氏

 2019年3月11日、文化庁は平成30年度文化庁長官表彰の表彰者を発表した。このなかにアニメーション関係者からアニメ会社ぴえろの創業者である布川郁司氏の名前も挙がった。またマンガ『まことちゃん』、『わたしは真悟』などで知られるマンガ家の楳図かずお氏も選ばれた。
 文化庁長官表彰は、文化領域で優れた活動や、日本の文化の振興への貢献、また日本文化の海外発信や国際文化交流に貢献した人たちの功績を顕彰するものである。1986年から実施されており、伝統芸能からスポーツ、音楽、ファッション、舞台、芸能、食、文化団体関係者などの幅広い分野から選ばれている。
 ただしこれまで、アニメーション、マンガ分野からの表彰者少ない。アニメーション関係者では2017年に白組創業者の島村達雄氏、同年の国際芸術部門で湯浅政明監督、片渕須直監督が選ばれている。布川氏の表彰は、それらに続くものとなる。

 文化庁では表彰にあたり、布川氏をアニメ演出家・製作プロデューサーとして「永年にわたり、アニメーション制作において優れた作品を数多く発表するとともに、後進の育成にも努め、我が国の芸術文化の振興に多大な貢献をしている」とその功績を説明している。 

 布川郁司氏は山形県出身で、1967年に日本デザインスクール卒業後、アニメーターとしてキャリアをスタートする。虫プロ、スタジオジャック、竜の子プロダクションなどで活躍するなかで、演出に仕事を移し、『いなかっぺ大将』、『新造人間キャシャーン』、『タイムボカン』などを担当した。
 さらに1979年にスタジオぴえろを設立、プロデューサーとして『ニルスの不思議な旅』、『うる星やつら』、『魔法の天使クリィーミーマミ』などの傑作を送りだした。
 その後は経営者として世界的な大ヒット作『NARUTO』、『BLEACH』を制作。ぴえろを世界的に知られるアニメスタジオに育てあげた。また一般社団法人日本動画協会の理事長を務め、大学の教壇にも立つなど、アニメ業界全体への貢献、若者の育成にも尽力している。
 表彰式は2019年3月18日、東京千代田区の文部科学省第2講堂(旧文部省庁舎6階)にて行われる。

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