ぴえろ創業者・布川郁司氏が逝去 アニメ業界発展にも貢献した重鎮
- 2022/12/27
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2022年12月25日、アニメ製作会社ぴえろの創業者で、同社の最高顧問も務めた布川郁司氏が逝去した。75歳であった。26日にぴえろが明らかにした。
葬儀は近親者のみで執り行われる。また後日、株式会社ぴえろが主催する「お別れの会」を実施する。多くの人にとっては、そこが別れの場になりそうだ。
布川郁司氏は1947年、山形県酒田市生まれ。日本デザインスクール卒業後、アニメ業界に進んだ。当初はアニメーターとしてキャリアをスタートし、タツノコプロダクションに移った後は主に演出を手がけた。『いなかっぺ大将』『新造人間キャシャーン』『ヤッターマン』などが代表作になる。
『ニルスのふしぎな旅』の制作をきっかけに、1979年にアニメーション制作会社スタジオぴえろを設立したのが大きな転機となった。会社設立後は、プロデューサー、そして会社経営に専念する。ぴえろは『うる星やつら』『魔法の天使クリィミーマミ』『幽遊白書』などのヒット作を次々に生み出す。世界初のOVA『ダロス』、海外合作『太陽の子エステバン』もぴえろの作品だ。
なかでも『NARUTO -ナルト-』『BLEACH』は、世界的なヒット作になった。ぴえろをアニメ業界有数のスタジオに引き上げた。
布川氏の活動は、アニメ業界全体にも及んだ。2009年から2014年まではアニメ製作者の業界団体である日本動画協会理事長として、業界の発展と振興に務めた。また2013年からはアニメプロデューサーと演出家の育成を目的として私塾「NUNOANI塾」を主催し、多くの人材を送り出してきた。
そうした経験は著書の「クリィミーマミはなぜステッキで変身するのか?」(2013)、「おそ松さんの企画術」(2016)の中でも語られている。また2019年には文化庁長官表彰、藍綬褒章をそれぞれ受章している。