ぴえろ、韓国の新興アニメスタジオと業務提携 世界を目指して共同製作

ぴえろRed Dog Culture House

 アニメの老舗企業ぴえろは、2024年8月に韓国のアニメーション制作会社Red Dog Culture Houseと業務提携契約を締結した。今後3年をめどに日本で組成するアニメの製作委員会に共同出資し、世界市場に向けて展開することで合意した。
 業務提携第一弾として、Red Dog Culture Houseが展開する韓国産ウェブトゥーン『Latna Saga: The Survival Sword King』(『異世界剣王生存記』)のアニメ化がすでに進行している。2024年内に本格的な制作を開始する予定だ。今後も日本の人気マンガや韓国のウェブトゥーンのアニメ化を検討する。

 ぴえろは1979年設立の老舗のアニメーション制作会社で、代表作には『魔法の天使クリィミーマミ』、『幽☆遊☆白書』、『NARUTO』、『BLEACH』、『キングダム』、『東京喰種』などがある。世界的に人気のシリーズ作品も多く、日本を代表するアニメスタジオをとしてお馴染みだ。
 一方のRed Dog Culture Houseは今年で設立から10年、韓国のエンタテイメントの集積地である富川市に拠点を持つ。日本のファンにも親しみが持ちやす2Dスタイルの映像を得意とし、韓国内だけにとどまらず、Netflixやビリビリといった世界企業と取引している。代表作にはNetflixシリーズの『ラブ、デス&ロボット』や『ウィッチャー 狼の悪夢』、『ドラゴンエイジ:罪のあがない』)、またBilibiliの『天官賜福』といった作品制作を行った。
 現在は、韓国で人気の高いウェブ小説やウェブトゥーンに進出している。これらを原作に自社のアニメーション制作をすることで、ビジネスのさらなる拡大を目指す。ぴえろとの提携も、そうした事業拡大戦略のひとつとみていいだろう。

 ぴえろは安定した業績を残す有力スタジオとこれまで見られてきた。しかし、現在はこちらも成長チャンスを求めた新たな展開が進んでいる。今年10月には、国内の旭プロダクションとも業務提携契約を結んでいる。
 相次いだ業務提携の理由には、作品生産力の補完が見え隠れする。現在、日本のアニメ業界は旺盛な制作意欲のため、有力スタジオの制作現場は数年先まで予定が埋まっているとされている。アニメスタジオが高まるアニメ需要を背景に自社独自企画や製作を目指しても、自社の制作ラインは人気シリーズなどですでに埋まっていることも多い。そこで他社企業と協力することで、制作力の増強を図ることになる。ぴえろのふたつの業務提携は、そうした点で自社の新たな事業展開を視野にいれたかなり積極的な動きとみられる。

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