2019年3月8日から11日まで、池袋地区を会場にアニメーションの祭典である東京アニメアワードフェスティバル2019が開催された。最終日にあたる11日には豊島区庁としまセンタースクエアにて、フェスティバル関連の授賞式が開催された。
なかでも注目されてのが、映画祭開催期間中に審査を行った国際コンペティション部門の受賞発表だ。このうち長編部門はポーランドなどヨーロッパ5ヶ国の合作『アナザー デイ オブ ライフ』がグランプリに優秀賞にはフランス・ルクセンブルク・カナダ合作の『パチャママ』が選ばれた。また短編アニメーション賞はベルギー・オランダ合作の『花咲く道 11歳』、優秀賞にはスペイン・フランスの合作『聖者の機会 6 – 前へ進め』(ジョージ・マリス監督)に決まった。
主要賞を受賞した4つの作品はいずれもヨーロッパの共同製作。世界のアートシーンにおけるヨーロッパの取り組みが大きな成果を残していることが感じられた。
一方で長編部門、短編部門とも良質の作品が集まり、イベント全体の底上げとなっていた。主催者からは、本年は昨年を大きく上回る56ヵ国・地域から793作品のエントリーがあったと明らかにされた。会期中は、海外から訪れたアーティストも数多く姿を見せるなど、国際映画祭らしい華やかなものとなった。
長編グランプリの『アナザー デイ オブ ライフ』は、1970年代に激烈を極めたアンゴラ内戦の初期に現地に赴いたポーランド人のジャーナリストの自伝をベースにラウル・デ・ラ・フエンテとダミアン・ネノウのふたりの監督が映像化した。アニメーションだけでなく、実写、インタビュー、写真などを取り交ぜることで、当時の様子をビビッドに伝える。同時にCGをたっぷり使うことで、アニメーションらしい映像表現も注目された。
一方で短編グランプリ 思春期を迎えた大親友の少女ふたりの繊細な心の動きをオランダのニンケ・ドゥーツ監督が描いた。優秀賞や豊島区長賞の『黄昏のクインテット(五重奏)』(中国・ジェ・ウォン監督)も含めて、今年の短編はアーティステックで人の内面を探るもの、メッセージ性の強い作品が目立った。
当日はすでに発表されているアニメ功労部門の10名、大河原邦男氏、小林治氏、酒井あきよし氏、杉山佳寿子氏、高橋茂人氏、高橋宏固氏、鳥海永行氏、二宮常雄氏、深沢一夫氏、堀江美都子氏の授賞も行われた。2005年の東京国際アニメフェアから続くこのアワードは今回で14回目、顕彰された功労者は160名を超えたという。
また過去1年間に日本で公開された商業作品を顕彰するアニメ オブ ザ イヤー部門では、劇場公開部門グランプリに『名探偵コナン ゼロの執行人』、テレビ部門グランプリに『ゾンビランドサガ』、そしてアニメファン賞に『BANANA FISH』が選ばれた。
フェスティバルはこのほか高畑勲追悼企画などの招待上映作品に、デジタルアニメの未来やグロ-バルをテーマにしたシンポジウム、子どもたちのためのワークショップなど多彩な催しが並んだ。
また上映作品も深夜アニメから海外の短編アニメーション、子どもから大人まで様々層にアピールするものが用意された。日本らしい特長を持ったフェスティバルとなっていた。
東京アニメアワードフェスティバル2019
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