オタワ映画祭、長編部門に「海獣の子供」「音楽」の2作品コンペイン

オタワ国際アニメーション映画祭(The Ottawa International Animation Festival)

 世界四大アニメーション映画祭のひとつカナダのオタワ国際アニメーション映画祭(The Ottawa International Animation Festival)が9月25日から29日まで開催される。その2019年のオフィシャルコンペティション作品が発表されている。長編7作品、短編89作品が選出された。
 映画祭には世界93ヵ国から2424作品ものエントリーがあったが、アワードの選考対象となるオフィシャルセレクションの採択率は4%以下だ。他の大型国際アニメーション映画祭と同様、極めて狭き門になっている。

 日本からも複数作品がオフィシャルコンペティションとして上映される。まず近年注目が増している長編アニメーション部門には渡辺歩監督の『海獣の子供』、そして岩井澤健治監督の『音楽』が選ばれた。長編部門は全7作品と絞られている中での2本を占める。
 『海獣の子供』はアヌシー国際アニメーション映画祭やANIMATION IS FILM映画祭でもセレクションされるなど映画祭の常連となっている。『音楽』は岩井澤健治監督の自主制作アニメーションで、6年間をかけ68分の長編に仕上げた。国内では2020年1月公開予定する。応援プロジェクトをクラウドファンディングで募るなど話題を呼んだが、オタワでいち早くお目見えすることになる。他にないオタワらしいセレクションと言っていいだろう。
 日本以外からは『I Lost My Body』(ジェレミー・クラパン監督)、『Away』(Gints Zilbalodis監督)、『The Swallows of Kabu』(Zabou Breitman/Eléa Gobbé-Mevellec監督)と映画祭の常連作品。そして『Marona’s Fantastic Tale』(Anca Damian監督)、『Tux and Fanny』(Albert Birney監督)だ。

 短編部門は、ストーリー性のある (Narrative)とストーリー性のない (NON-Narrative)に分けられている。日本作家ではオーストリア在住の米正万也氏の『Linz Delight』が、NON-Narrative部門で選ばれている。手描きによる3分半程度の抽象作品だという。
 受託部門には冠木佐和子氏の『たこやきストーリー』と山村浩二氏の『Hankograph(ハンコグラフ)』。『たこやきストーリー』は1分半の短編で、アートユニット1980YEN(イチキュッパ)のMVになる。冠木氏は若手ながら国際映画祭ではお馴染みの顔だけに今回も期待がかかる。
『Hankograph(ハンコグラフ)』は、米国の環境保全団体WILDAIDと認定NPO法人アフリカゾウの涙のプロジェクトだ。山村氏は日本を代表するアニメーション作家で世界的な重鎮、映画祭では大きな注目を集めそうだ。

 またプレスクール向けの短編部門で、溝口広幸監督のプチプチ・アニメ『ふわふわアワー PuiPui&MuuMuu』。VR部門にはKazuki Yuhara氏の『MOWB』。テレビアニメシリーズでは、日本在住のナターシャ・アレグリ監督の『Bee and PuppyCa』「Lazy in Space ‘Little Fingers’」が選ばれている。
 数は決して多くないが、様々な部門に日本関連の作品がみられる。映画祭最終日9月29日には各賞の受賞者が発表される。

オタワ国際アニメーション映画祭(The Ottawa International Animation Festival)
https://www.animationfestival.ca/

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