「劇場版 ガルパン」異例の1年間のロングラン決定、2016年11月22日まで上映

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2015年11月21日に全国公開された映画『ガールズ&パンツァー 劇場版』が、公開から9ヵ月経った現在も上映中と異例のロングランを続けている。しかも、イオンシネマの港北ニュータウン、幕張新都心、春日部、名古屋茶屋の4サイトでは、2016年11月22日まで上映を続けることが決定した。この結果、本作は公開から丸一年以上上映が続く超ロングランとなる。
ロングラン上映は、劇場の興業成績にも反映している。8月21日の時点での興行収入は23億1526万4894万円と、23億円を突破した。さらに累計動員数は135万5313人に達する。これは数百館規模の大規模公開のヒット作の水準となる。『ガールズ&パンツァー 劇場版』が当初77館でスタートしたことから考えれば、その際立った成功が理解できる。

近年、劇場アニメは、ファミリー向けの大作、そしてコアファン向けの中小規模の公開いずれもが好調だ。そのため2015年、2016年には、公開本数も増え、毎週のように新作が登場するほどだ。ヒット作もあるが、数が多いだけに公開から短期間で話題にならなくなるもの、あるいは当初より上映期間を短く切るものも少なくない。
一方で、リピーターや口コミによる新規観客の来場で、通常では考えられないロングランとなる作品も現れている。『ガールズ&パンツァー 劇場版』もそのひとつだ。

ロングランの秘訣は、話題づくりと、常に新鮮さを保つ演出だ。本作ではシアター内の音響を特別仕様にした爆音上映が当初盛り上がったほか、2016年2月20日からスタートした4DX上映が観客の増加に再ドライブをかけた。
映画興業は通常、Blu-rayやDVDの映像ソフトの発売と合せて終了することが多い。しかし、『ガールズ&パンツァー 劇場版』では、2016年5月27日の商品発売後も上映を続けている。Blu-ray特装限定版が初週だけで16万2000万とこちらも記録的な売り上げになり、映画興業と映像ソフトの販売が喰い合いにならないことも示したかたちだ。
配給は今後も、様々なイベント上映を盛り込む。8月27日からは、旭川、長崎、水戸、前橋で4DX上映が行われる。また10月には中国地方初となる激音上映会を福山駅前シネマモード(広島)で行う。都会に集中しがちなこうしたイベントを地方に展開するのも特徴になっている。
そして8月28日には、パシフィコ横浜で開催されるシリーズの大型イベント「第2次ハートフル・タンク・カーニバル」を全国の劇場にライブビューイングする。映画館がファンとのコミュニケーションのハブとなっている。それが『ガールズ&パンツァー』の強さの秘密だ。

観客動員数/累計興行成績(8月21日時点)
累計動員: 1,355,313人 
累計興行収入: 2,315,264,894円
公開館数: 226館(累計館数) ※スタート時は77館

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