米国ファニメーションとHuluが配信事業で提携、優先交渉権や吹替版

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 米国での日本アニメの配信ビジネスが、また大きく動いている。この11月にクランチロールとの業務提携契約を終了したファニメーション(Funimation)が、配信事業で新たな有力パートナーをみつけた。
 2018年12月5日、Huluはファニメーションが米国ライセンスを持つ日本アニメの配信で幅広い優先的な権利を獲得する。

 Huluはまずファニメーションの持つ日本アニメの英語字幕版、吹替え版の両方を優先的に配信する。これまでファニメーションは英語吹替え版の配信は自社サイト「Funimation NOW」に限定することが多かった。吹替え版は近年人気が高まっており、Huluにとってはユーザーを引きつける強力なプログラムになる。
 このなかには『僕のヒーローアカデミア』、『進撃の巨人』、『東京喰種トーキョーグール』などの人気タイトルが多数含まれているのは大きい。いずれもファニメーションの目玉作品だ。

 もうひとつの目玉は、ファーストルックの権利だ。Huluはファニメーションが権利獲得した作品の配信について、他の会社よりも先に配信権獲得交渉ができる。ライバルに先駆けて有力タイトルの配信を独占的に確保することも可能だ。 
 一方であくまでも優先交渉なので、必要ないと判断した場合は購入しなくてもよい。かなり有利な取引である。ユーザー数ではNetflixやAmazon プライム ビデオに後塵を拝するHuluにとってアニメ分野では強力なアピールポインになるはずだ。

 ファニメーションは米国の老舗日本アニメ配給会社。映像パッケージの発売・販売から事業をスタートし、いまでは映画や商品化、配信と幅広く事業展開している。
 現在は日本の権利者から映像パッケージ・配信・上映などの個別ライセンスを購入するだけでなく、権利を包括的にカバーするマスターライセンスを獲得することも少なくない。それを米国の別企業にサブライセンスをすることになる。映像配信でも自社配信サイトだけでなく、他社に再販売することも多い。

 ファニメーションは、2016年9月に日本アニメ配信の最大手クランチロールと幅広い業務提携を結んでいた。それぞれが獲得した作品を相互に提供していた。それまでライセンス獲得競争の最大のライバルであった両社の提携はアニメ関係者を驚かせた。
 しかしその後、クランチロールはワーナメディアグループ傘下に、ファニメーションはソニー・ピクチャーズ傘下にはいった。提携は2018年11月にわずか2年あまりで終了する。
 そこで配信事業が弱いファニメーションが、新たなパートナーとしてHuluを選んだかたちだ。Huluにとってもこの提携は大きい。日本アニメの配信権獲得は競争が厳しく、これまでは独自作品はほとんど確保できていないからだ。ファニメーションと提携することで、それを補完することができる。

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