アニメ製作のIGポートは1月11日に、2019年5月期第2四半期決算を発表した。連結売上高が前年同期比で11.8%減の40億1400万円になったほか、利益面で赤字転落する厳しい結果となった。営業損失は2億5500万円、経常損失は2億5600万円、当期純損失は2億7000万円と、それぞれマイナスだった。
なかでも厳しかったのはアニメーション制作を中心とした映像制作事業だ。売上高は26億5300万円(1.2%減)とほぼ前年並みだったが、第2四半期までの営業損失が2億6100万円。前年同期の2億4600万円より拡大している。
IGポートによれば、CGアニメの制作費、外注費が高騰しているのに加えて、制作期間の長期化が映像制作のコストを押し上げている。新規受注では、現状にあった制作予算での受注交渉をしているが、前年度からの案件があり厳しい状況が続いた。
こうしたなかで2018年11月には、制作部門の主力子会社のひとつジーベックの制作事業の売却を発表している。下半期、次年度に向けた収益化に道筋をつけたいところだ。
期間中の主力タイトルは、『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System』、『風が強く吹いている』、『進撃の巨人 Season 3』、『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』などだった。
また今決算では、版権事業が赤字転落したことも大きかった。売上高は7億1000万円(0.4%増)とこちらも前年同期並みだったが、前年の3億円の営業利益が、3800万円の営業損失に転じた。
前年度の主力であった『魔法使いの嫁』が一段落する一方で、映像マスター及びコンテンツ資産の減価償却費が増加した。減価償却の拡大は、積極的な製作出資が続いているためとみられる。作品権利獲得のための支出の増加と、保有権利からの収益化にタイムラグが生じているようだ。
版権事業の主力は『魔法使いの嫁』のほか、『進撃の巨人』、『攻殻機動隊』、『宇宙戦艦ヤマト』の各シリーズ。Netflixオリジナルアニメの『B: The Beginning』の権利収益も計上している。
出版事業は売上高5億4000万円(46.7%減)、営業利益6000万円(79.5%減)。新刊コミックスの刊行数の減少と返品の増加が影響した。
「リィンカーネーションの花弁」シリーズが好調で、累計販売部数か100万部を突破している。自社タイトルの次のメディアミックス候補となりそうだ。