国内で映画興行記録を塗り替え続けている『劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編』が、北米でまた大きな記録を生み出した。日本から半年遅れ、2021年4月23日に米国とカナダで本作の公開がスタートした。
この週末興収が1954万ドル、約21億円となった。金曜日から日曜日までの3日間、週末興行収入では人気ゲームを原作にしたハリウッド大作『モータルコンバット』にわずかに及ばず第2位となったものの公開初日23日(金)は953万ドルでデイリー1位になった。週末興収では『ゴジラvsコング』、『モータルコンバット』に続き今年3番目の高さになる。日本アニメの週末興収では1999年、2000年の映画『ポケットモンスター』以来、20年以上ぶりの記録だ。
さらに注目されるのは『鬼滅の刃』のスクリーン数は1600、ほぼ同じ規模の興収2251万ドルとなった『モータルコンバット』の3073のおよそ半分に過ぎない。スクリーンごとの収入は1万2213ドルと飛び抜けた水準となった。子供だけでは鑑賞できないR指定が受けたことも含めて大ヒットである。
『鬼滅の刃』の成功の要因は、近年の日本アニメを巡る北米での環境の変化があるだろう。2010年代の急激な動画配信プラットフォームの普及により、日本アニメの視聴者はかつてないほど拡大しているからだ。しかも作品は日本と同時に視聴されているから、すでに多くの鬼滅ファンが北米にいる。彼らが大量動員を支えている。
日本とアジアで大ヒットはすでにニュースとして伝えられており、その期待は高まらざるを得ない。期待の高まりは劇場関係者も同様だ。急速に改善しているもの、米国ではいまだ扉を開いてない、あるいは収容人数を制限している映画館は多い。新作映画の公開本数も限られており、集客が期待される『鬼滅の刃』に日本アニメとしてはこれまでにない規模のスクリーン数が割り当てられたともみられる。
さらに配給会社のパワーが増していることもある。配給のファニメーションは、これまで日本アニメ専門の映画配給会社とみられ、スクリーン数や上映期間の確保には限界があった。しかし2018年の『ドラゴンボール超(スーパー) ブロリー』や2020年の『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング』でヒットを重ねるなど実績を積んできた。
さらにハリウッドメジャーのソニー・ピクチャーズの傘下となり、ソニーグループのアニプレックスとも協力する。これまで以上に総合力が発揮されるようになった。それだけに今後は、記録がどこまで伸びるかに関心が集まりそうだ。