インプレス総合研究所は7月30日に、国内のデジタル出版の動向をまとめた「電子書籍ビジネス調査報告書2018」を発売する。これに先立って、電子書籍の市場規模など調査結果の一部を発表した。
インプレス総合研究所は、2003年より継続的に電子書籍の調査を行っている。紙書籍と比べて、流通や販売段階での数字が表れにくいデジタルだが、電子書籍関連事業者へのヒアリングやユーザーアンケートで実態を明らかにしている。今回の調査はその最新版にあたる。
発表数字からは、電子書籍市場の成長が依然続いていることが分かる。国内電子書籍全体の市場は2556億円で前年比12%の増加になった。
このうち電子書籍は2241億円(13.4%増)、電子雑誌は315億円(4.3%増)である。電子書籍の伸びが大きく、電子雑誌の伸びは鈍い。電子雑誌は全体でも1割強と割合も低い。
また電子書籍市場で、コミックの占める割合は依然大きい。電子コミック市場は1845億円(14%増)、全体の82%と圧倒的なシェアを持つ。伸び率でも文芸・実用書・写真集等を上回っている。電子書籍の普及が依然、コミゥクに牽引されていることが分かる。
同時に2000億円に迫ろうとする市場の大きさは、紙でのコミック単行本、雑誌とそれぞれ同程度となる。マンガ業界においても、デジタルが単行本、雑誌と並ぶ三本柱のひとつであると言っていいだろう。
電子コミックは有料サービスだけでなく、無料で閲覧できるサービスも少なくない。無料サービスの経済効果は計りにくいところがあるが、インプレスでは無料マンガアプリ広告の規模でその一端を明らかにしている。これが2017年は100億円と推定、さらに2018年には120億円程度に拡大するとしている。広告だけでも100億円を超えることで、ビジネスとしても無視できない存在であることが分かる。
その無料マンガアプリの利用者は、全体の7割にも達した。LINEマンガが全体の26.9%と最も利用されており、少年ジャンプ+の19.7%がそれに続く。前年に1位であったcomicoが利用者を大きく落とし3位に後退、韓国系のカカオジャパンが運営するピッコマが急激にシェアを伸ばし4位に喰いこんでいる。