2020年電子コミック市場が4000億円突破、マンガアプリ広告は260億円

「電子書籍ビジネス調査報告書2021」

 メディア・IT関連の調査会社インプレス総合研究所によれば、2020年度の国内の電子コミック市場が初めて4000億円を超えた。同研究所は、8月6日に『電子書籍ビジネス調査報告書2021』を刊行するにあたり、国内電子書籍市場の概要を発表した。調査によれば2020年度の国内電子書籍市場規模は4821億円、前年比28.6%増と急伸、1071億円もの売上が新たに発生した。
 インプレス総合研究所は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による外出自粛から巣ごもり消費が生まれたこと、社会現象ともいえる大ヒット作品があった影響を理由にあげる。今後も市場の拡大は続き2023年度には6000億円、2025年度には6700億円を超える市場に成長すると予測する。

電子書籍市場規模のジャンル別内訳「インプレス総合研究所『電子書籍ビジネス調査報告書2021』」

電子書籍市場規模のジャンル別内訳「インプレス総合研究所『電子書籍ビジネス調査報告書2021』」

 電子書籍のなかでも高い伸びを見せたのが、電子コミックである。伸び率は全体平均を上回る33.8%増。金額は4002億円で、初めて4000億円台を超えた。もともと電子書籍の市場のコミックの占有率は極めて高いが、20年度には全体の83.0%に達している。

マンガアプリ広告市場規模「インプレス総合研究所『電子書籍ビジネス調査報告書2021』」

マンガアプリ広告市場規模「インプレス総合研究所『電子書籍ビジネス調査報告書2021』」

 一方で市場統計のなかには近年、拡大が続く、マンガアプリの広告売上げは含まれていない。こちらは顧客の購入額ではなく、無料アプリの広告出稿から構成される。インプレス総合研究所では、このマンガアプリ広告市場を別に算出している。2020年度はこれが前年の210億円から260億円に増加した。新型コロナウイルス感染症拡大により広告単価が下落する一方で、利用の拡大が続いているためだ。
 好調なマンガアプリだが、今後の懸念要因もある。2020年秋頃より海賊版サイトの影響も表れ、一部のマンガアプリに大きな影響を与えているという。今後の動向が注視される。

『電子書籍ビジネス調査報告書2021』では、市場規模のほか最新の国内ビジネス動向、米国の動向、主要な電子書籍ストア/サービスの動向、ユーザーの電子書籍利用実態などを294ページにわたりまとめている。
2021年8月6日(金)に発売、CD(PDF)版・電子版 74800円(税込)、CD(PDF)・冊子版85800円(税込)となっている。

「電子書籍ビジネス調査報告書2021」
https://research.impress.co.jp/ebook2021

インプレス https://www.impress.co.jp/

関連記事

アーカイブ

カテゴリー

ピックアップ記事

  1. 第2回新潟国際アニメーション映画祭
     今年3月に初開催されて話題を呼んだ新潟国際アニメーション映画祭が、2024年3月に第2回を迎える。…
  2. 「アニメーションの表現」
     2023年10月23日から11月1日まで開催されている第36回東京国際映画祭は、昨年より上映本数、…
  3. 『いきものさん』© 和田淳・ニューディアー/東映アニメーション
     日本を代表するアニメーション作家として、いま“和田淳”を筆頭に挙げる人は多いだろう。2010年に『…
ページ上部へ戻る