電子書籍市場拡大が続いている。国内のマーケット動向を20年にわたり調査しているインプレス総合研究所は「電子書籍ビジネス調査報告書2022」の8月10日発売に合わせて、2021年度の国内電子書籍市場規模が5510億円であると発表した。
調査は出版社、電子書籍ストア、取次事業者、コンテンツプロバイダー、インターネット広告事業者、電子図書館サービス事業者などへのヒアリング調査及びユーザーへのアンケートなどの結果から算出したものだ。前年度比では14.3%増と前年度の28.6%増に続き2桁成長を確保した。インプレス総合研究所では成長について、年度前半に新型コロナ感染症拡大による巣ごもり消費が続いたことを挙げている。
前回の調査では21年度の予測を5378億円としていたため予想より早いピッチで成長していることになる。また今後の市場規模予測も全体に引き上げられている。2026年度には8048億円と、8000億円の大台を超えるとしている。
市場全体のなかでは引き続きマンガの占める割合が大きい。(調査ではコミックと表記)。電子コミック市場規模は4660億円と前年度の4002億円から16.4%の増加。市場占有率も前年度の83%から84.6%と1.6ポイントあがっている。
文芸・実用書・写真集等は14.8%増の597億円となったが、雑誌は伸び悩んでいる。前年度から10億円減少の253億円となった。
ユーザーの急成長が続くマンガアプリの広告市場規模も、意外なことに伸び悩んでいる。前年度と同じ260億円にとどまった。2022年度の予測も270億円と控えめだ。
これは新型コロナ拡大のなかで広告指標が悪化して、広告単価が下落した。ことが理由 になっている。また個人情報保護強化による影響も受けていると、インプレス総合研究所は説明している。マンガアプリは今後の有力市場のひとつだけに、こちらは気になる結果である。
「電子書籍ビジネス調査報告書2022」
https://research.impress.co.jp/report/list/ebook/501508