インプレス総合研究所は2016年の国内電子書籍市場を調査、「電子書籍ビジネス調査報告書2017」としてまとめた。7月27日のこの調査の概要を発表した。
調査によれば2016年度の電子書籍・雑誌の市場は2278億円、前年比24.7%増と引き続き高い伸びを見せた。このうち電子書籍が1976億円、電子雑誌302億円となる。電子雑誌も成長を続けているが、全体の8割以上が書籍と国内の電子書籍・雑誌市場が書籍に牽引されていることがわかる。
電子書籍のなかでも存在感の大きいのが、コミックである。2016年度の電子コミック市場は1617億円、書籍全体の82%を占めている。全体シェアから2015年度から若干拡大しており、市場の成長がコミックに牽引されていることが分かる。
電子書籍・雑誌は今後も市場が拡大する見込みだ。インプレス総合研究所は、5年後の2021年度には、3560億円程度まで広がるとする。電子書籍は現在の1.6倍程度の3120億円と予測する。
電子出版のビジネスが成長する一方で、近年は従来の購買型とは異なる市場も広がっている。なかでも、無料でマンガを読めるアプリの利用が増えているインプレス総合研究所は、こちらについても広告市場規模とその成長を算出している。
2016年度の無料マンガ向けの広告は78億円、前年比90%増だ。2015年度は14億円だったから、急速にビジネスが立ちあがっていることが分かる。さらにこれが2017年度には101億円まだ拡大すると見通している。
さらに無料マンガアプリのなかでは、「comico」、「LINEマンガ」の利用が多い。IT系企業2社がトップとなるが、これに集英社の「少年ジャンプ+」、小学館の「マンガワン」と出版社系が続いている。
表:いずれも「インプレス総合研究所『電子書籍ビジネス調査報告書2017』」
http://book.impress.co.jp/books/1117501005