8月17日公開の劇場アニメ『ペンギン・ハイウェイ』が、早くも海外で話題になっている。カナダ・モントリオールで開催されたファンタジア国際映画祭(Fantasia International Film Festival)にて、本作がアニーション部門の長編映画グランプリに当たる今敏賞(Satoshi Kon Award for Excelence in Animation)に選ばれた。
アニメーション部門にあたるAXISと名付けられたカテゴリーでは、『ペンギン・ハイウェイ』を含めて24作品が上映されている。日本からも『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』(武内宣之監督)、『さよならの朝に約束の花をかざろう』(岡田麿里監督)、『バイオレンス・ボイジャー』(宇治茶監督)、『アラーニェの虫籠』(坂本サク監督)、『Walking Meat』(須貝真也監督)と、幅広いライナップとなった。『ペンギン・ハイウェイ』は、このなかのベストというわけだ。
審査評では「恋と友情を美しく描いた魔法のようなSFラブストリーは、世代を超えた人たちの心に響く」としている。
アニメーション部門ではこのほか長編特別賞に中国から『大護法』(林安儿監督)、短編グランプリはヨーロッパから『Simbiosis Carnal』(ロシオ・アルバレス監督)、短編特別賞にフランス『Make it Soul』(Jean-Charles Mbotti Malolo監督)が選ばれている。
日本からは若手映画監督を対象としたニュー・フレッシュ・アワードの特別賞に山中瑶子監督の『あみこ』が受賞した。山中監督は若干20歳である。
ファンタジア国際映画祭はアジアのジャンル映画にフォーカスし、1996年にスタートした。その後、作品対象を世界に広げることで、北米最大のファンタスティック映画祭に成長した。当初から日本アニメに積極的で、アニメーション部門は2010年に逝去した今敏監督の功績を讃えて今敏賞としている。
『ペンギン・ハイウェイ』は、人気作家・森見登美彦氏のベストセラー小説を若手監督の石田祐康氏のもと、スタジオコロリドが劇場アニメとして制作した。郊外の街に突如出現したペンギンたちを巡るファンタジックな物語。小説は第31回日本SF大賞も受賞している。
石田監督は、大学時代に『フミコの告白』(2009)で話題になった逸材。本作が初の長編アニメの監督になる。新鋭の制作会社として注目されるスタジオコロリドにとっても、初の長編劇場アニメだったが、国際舞台に大きな評価を勝ち取った。