湯浅政明監督次回作はサーファー女子の甘いラブストーリー 仏アヌシー映画祭で発表

湯浅政明監督

 『DEVILMAN crybaby』『夜明け告げるルーのうた』『夜は短し、歩けよ乙女』と話題作を次々に世に送り出す湯浅政明監督の次回作が明らかになった。2018年6月15日(木)、フランスで開催されている世界最大のアニメーション映画祭のアヌシー国際アニメーション映画祭にて行われた湯浅監督の「Masterclasses」が発表の場となった。「Masterclasses」は世界の大物クリエイターが自身の創作の方法を語るというもの。
 このなかで特別に時間が設けられて、制作中のデザインや映像と伴に監督が自身で最新作の概要とコンセプトを語った。『DEVILMAN crybaby』を経て再び劇場長編に戻り、若い2人の甘いラブストーリーを描くという。自身のスタジオであるサイエンスSARUが、引き続きアニメーション制作を担当する。

 湯浅監督は、昨年、アヌシー国際アニメーション映画祭で『夜明け告げるルーのうた』にて長編部門のグランプリ(クリスタル賞)を受賞。世界のアニメーション業界で大きな注目を浴びた。
 前年に引き続き、再び湯浅監督がアヌシーを訪れたのは、「Masterclasses」への出演のためである。前半部分は2004年の『マインド・ゲーム』から始まり『ケモノヅメ』『カイバ』『四畳半神話大系』『ピンポン THE ANIMATION』『夜は短し歩けよ乙女』『DEVILMAN crybaby』までの作品づくりの背景を語った。絵を描くことに専念してきたため当初はストーリーは苦手としていたことや、自分では人と同じつもりだけれど人と違ってしまうことなど、エピソードもたっぷりに紹介した。
 後半部分は、『夜明け告げるルーのうた』にフォーカス。監督に加えて脚本の吉田玲子さん、制作プロデューサーのチェ・ウニョンさんがトークに加わった。湯浅監督が2001年の『カスミン』の頃よりうまい脚本家として目をつけていた吉田さんと一緒に仕事をすることになった経緯などを話した。

 新作の製作発表となったのは、この最後のパートである。監督が「サイエンスSARUで長編映画を用意しています」と切り出し、しかも2018年中にアニメーション制作を完了し、2019年には公開したいとも。
 作品のタイトルは明らかにしなかったが、サーファーの女の子と消防士の青年の2人の甘いラブストーリーであるという。「海の波に乗るのは得意だが人生の波に乗れない女の子が、人生の波に乗るのが得意な男の子に恋をする」と話す。イベントでは、イメージボードだけでなく、映像の一部も公開され、制作がかなり進んでいる様子も伝わった。

 『夜明け告げるルーのうた』に続き脚本を担当する吉田さんは「湯浅さんがラブストーリー?!」と最初は驚いたと、ウニョンさんも「『DEVILMAN crybaby』の後だっただけに」とやはり驚いたと明かす。
 しかし、そこは湯浅監督だけに単純なラブストーリーに終わらない。男の子は突然死んでしまい、水になって戻ってくるのだと説明する。ファンタジックな要素は今回も盛り込まれるようだ。「人は生きていると大切なものを失う。失しなった時にぽっかりと空いた気持からどう立ち直ればいいのか、そうした話になる」と監督。これを聞いただけでも作品の完成を期待させるのに十分だ。

 トーク全体は湯浅監督の作品づくりに対する時の気持ちや、考え方がたっぷり伝わる貴重な話ばかり。QAでも、作品づくりの姿勢から、海外の人とのクリエイションなどこちらも多彩な話が飛び出した。
 さらに制作の今後について聞かれると、「サイエンスSARUで自分以外の誰かが監督になって、スタジオが回っていけば」との答えだった。これからもまだまだ変化していく制作の体制を目指しているようだ。湯浅政明監督とサイエンスSARUは、今後も日本のアニメ業界の台風の目であり続けることを感じさせた。

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