アヌシー映画祭、長編グランプリに「Flee」、TVシリーズ審査員賞に「日本沈没2020」

アヌシー国際アニメーション映画祭

 6月14日から開催されている2021年のアヌシー国際アニメーション映画祭は、19日(現地時間)に今年のコンペティション部門の受賞作を発表した。長編部門グランプリになるクリスタル賞はヨナス・ポエール・ラスムッセン監督の『Flee』が、短編部門クリスタル賞はスイスのSamuel PATTHEY, Silvain MONNEY両監督の『Écorce』に決定した。

『Écorce』(スイス) Samuel PATTHEY, Silvain MONNEY

『Écorce』(スイス)
Samuel PATTHEY, Silvain MONNEY

 長編部門、短編部門では日本から受賞はなかったが、テレビ部門で湯浅政明監督、サイエンスSARU制作の『日本沈没20200』がテレビシリーズ審査員賞に選ばれた。湯浅監督にとってはアヌシー5度目のノミネートになるが、受賞は2017年の『夜明け告げるルーのうた』の長編グランプリ以来、4年ぶり2度目になる。
 VR部門では日本の木田香織もアニメーション協力する『諸行無常』がグランプリとなった。ジャカルタの架空の路地を360度で表現する現代的な作品だ。本作は日本でも第24回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門優秀賞を受賞している。

 『Flee』はデンマーク出身のラスムッセン監督が、アフガニスタン難民の男性のアイデンティを描いた実話を基にしている。デンマークのほかフランス、ノルウェー、スウェーデンが共同製作に参加する。ヨーロッパで注目されるドキュメンタリー・アニメーションに次々に傑作が生まれている近年の潮流を確認させるものとなった。グランプリのほか最優秀オリジナル音楽賞(長編)とGan財団賞も受賞している。
 長編部門の審査員賞は『Ma famille afghane』。こちらもアフガニスタンが題材で、アフガニスタンの夫に嫁いだチェコ人の女性の異文化体験が題材になっている。チェコ、フランス、スロバキアの合作で監督のMichaela PAVLÁTOVÁは本作が長編初挑戦だった。審査員特別賞はフランス、ドイツ、チェコ合作『La Traversée』(Florence Miailhle監督)。
 長編映画コントラシャン部門受賞は、ブラジルの『Bob Cuspe – Nós Não Gostamos de Gente』になった。斬新な表現の映画を対象にする部門だが、本作はブラジルの人気コミックを原作に年を取ったパンク好きのロードムービーをストップモーションで映像にした。コントラシャン部門審査員特別賞はカナダの『Archipel』(Félix DUFOUR-LAPERRIÈRE監督)。

 アワード全体では合作を軸にしたヨーロッパの作品が多く受賞している。これはオフィシャルコンペ自体がヨーロッパ作品で多く占めていることを反映している。
 その中で学生部門(GRADUATION FILMS)のクリスタル賞が中国美術学院出身の『Hippocampus』(Zehao LI)になったことが目を惹く。また同部門審査員特別賞の『La Confiture de papillons』(Shih-Yen HUANG)もアジアから。台湾出身でフランスの国立高等装飾美術学校(ENSAD)で学ぶ学生の作品である。アジアの若い才能の胎動を感じさせる結果だ。

アヌシー国際アニメーション映画祭
https://www.annecy.org/home

アヌシー国際アニメーション映画祭
2021年オフィシャルコンペ主要受賞作品

【長編部門】
■クリスタル賞
『Flee』(デンマーク、フランス、ノルウェー、スゥエーデン)
Jonas POHER RASMUSSEN
■審査員賞
『Ma famille afghane』(チェコ、フランス、スロバキア)
Michaela PAVLÁTOVÁ
■審査員特別賞
『Traversée』(ドイツ、フランス、チェコ)
Florence MIAILHE
■CONTRECHAMPクリスタル賞
『Bob Cuspe – Nós Não Gostamos de Gente』(ブラジル)
Cesar CABRAL
■CONTRECHAMP 審査員特別賞
『Archipel』(カナダ)
Félix DUFOUR-LAPERRIÈRE

【短編部門】
■クリスタル賞
『Écorce』(スイス)
Samuel PATTHEY, Silvain MONNEY
■審査員賞
『Easter Eggs』(ベルギー、フランス、オランダ)
Nicolas KEPPENS
■審査員特別賞
『Affairs of the Art』(イギリス、カナダ)
Joanna QUINN
■JEAN-LUC XIBERRAS賞(初監督賞)
『Hold Me Tight』(ベルギー、フランス)
Mélanie ROBERT-TOURNEUR
■オフ-リミット賞
Tunable Mimoid(オーストラリア)
Vladimir TODOROVIC

【テレビ部門】
■クリスタル賞
『Vanille』(フランス、スイス)
Guillaume LORIN
■審査員賞(テレビシリーズ)
『日本沈没2020』「オワリノハジマリ」(日本)
湯浅政明
■審査員賞(テレビスペシャル)
『Mum Is Pouring Rain』(フランス)
Hugo DE FAUCOMPRET

【受託作品部門(COMMISSIONED FILMS)】
■クリスタル賞
『Kai “A Little Too Much”』(米国)
Martina SCARPELLI
■審査員賞
『Hjelp, vi har en blind pasient』(ノルウェー)
Robin JENSEN

【学生部門(GRADUATION FILMS)】
■クリスタル賞
『Hippocampus』
Zehao LI 中国 (CHINA ACADEMY OF ART)
■審査員賞
『Avant』
Marcell MOSTOHA
ハンガリー(MOME – MOHOLY-NAGY UNIVERSITY OF ART AND DESIGN)
■審査員特別賞
『La Confiture de papillons』
Shih-Yen HUANG
フランス(ENSAD)、台湾

【VR部門クリスタル賞】
■『諸行無常(Replacements)』(ドイツ、インドネシア、日本)
Jonathan HAGARD

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