日本とフランス、アニメーション制作が活発な2つの国を代表する企業が手を組んで、新しい作品を生み出す。日本のシンエイ動画とフランスのMIYUプロダクションが共同制作する『化け猫あんずちゃん』が、2024年にリリースされることが分かった。日本では7月に、TOHO NEXT(旧東宝映像事業部)配給で公開する。
作品は昨年のフランスのアヌシー国際アニメーション映画祭で、WORK IN PROGRESS部門で紹介されており、国際的にも注目が高かった。公開時期は明らかにされていないが、すでにフランスの配給会社Charadesがグローバル販売で提携、さらに米国の映画会社GKIDSが北米配給権を獲得している。ワールドワイドな上映ネットワークが組まれている。
『化け猫あんずちゃん』は、学童向けの雑誌「コミックボンボン」で連載されていた いましろたかしのマンガを原作にする。長生きしていたら、いつの間にか化け猫になってしまったあんずちゃんのマイペースな日常を描く。
原作はキッズ向けだが、監督はは山下敦弘と久野遥子と異色だ。山田は『リンダ リンダ リンダ』や『天然コケッコー』で活躍する実写映画のベテランで、長編アニメーション映画は初。久野は学生時代に短編「Airy Me」で高く評価され、『花とアリス殺人事件』のロトスコープアニメーションディレクターを務めた。その後も個性溢れる映像で評価されてきた。海外作品とはもちろん、日本国内でも他にないタイプ作品になりそうだ。シンエイ動画によれば、久野監督は本作をまず全編実写で撮影し、その動きをアニメーションに置き換えるロトスコープを使用する。
MIYUプロダクションは、フランスの新進映画会社ながら、短編・長編と積極的にアニメーション企画・製作を手がけている。国際映画祭に多くの作品を送り出し、現在、世界のアニメーション界で最も注目されている会社にひとつになっている。日本のスタジオやクリエイターとの取り組みにも積極的だ。
そして日本のシンエイ動画は、日本の老舗スタジオとしてお馴染みだ。『ドラえもん』や『クレヨンしんちゃん』でよく知られるが、近年は『僕の心のヤバイやつ』や『カッコウの許嫁』などヤングアダルト向けにも進出する。さらにストップモーションの短編『PUI PUI モルカー』、劇場オリジナル『窓ぎわのトットちゃん』でも高い評価を受ける。
老舗アニメ会社の大胆な挑戦と変化として注目を浴びているが、『化け猫あんずちゃん』も、そんな新たな作品のひとつになりそうだ。
『化け猫あんずちゃん』
https://ghostcat-anzu.jp/
配給︓TOHO NEXT
監督: 久野遥子/山下敦弘
原作: いましろたかし『化け猫あんずちゃん』
脚本: いまおかしんじ
制作: シンエイ動画×Miyu Productions
製作: 化け猫あんずちゃん製作委員会
実写制作協力: マッチポイント