Netflix世界最大のアニメーション映画祭に登場 ファミリーキッズから日本アニメ「B: the Beginning」まで


 世界の映像ビジネスを席巻する映像配信プラットフォームNetflixが、2018年夏に世界最大のアニメーション映画祭であるアヌシーに本格進出し大きな注目を集めている。6月12日午後に「Netflix Animation: From Award-Winning Kids & Family Series to Exciting Anime and Irreverent Adult Animation」を開催し、同社が推す3作品を監督と共に紹介した。
 このイベントは映画祭が設けるスタジオフォーカスのひとつ。世界の有力製作会社が最新作や制作のクリエイティブなどをプレゼンテーションする。今年はニコロデオンやワーナーブラザーズ、パラマウントなどが実施したが、ここにNetflixも加わった。

 世界の映像業界の台風の目となっているNetflixだけに、その注目度は映画祭でも抜群。当日は開始一時間も前から、限られた席を取ろうと集まった人たちで長蛇の列が出来た。
 約1時間15分のイベントは、Netflixのアニメーションのラインナップのジャンル区分に合わせて構成された。アニメーションの広いジャンルを3つの主要部門「ファミリーキッズ」「ANIME」「アダルト アニメーション」として位置づける。
 「ファミリーキッズ」は欧米で馴染み深いカートゥーンスタイルやフルCG作品が中心。「ANIME」は日本アニメとそのスタイルを踏襲した作品。最後の「アダルト アニメーション」は、ハイティーン以上をターゲットにした痛烈なギャグコメディなどになる。『アグレッシブ烈子』といった日本作品もこのなかにあり、「ANIME」とも一部の重なる。全体でみても、Netflixのアニメーション分野における日本作品の存在感は大きい。

 クリエイターのゲストは3人。「ファミリーキッズ」からは『ヒルダの冒険』のアンディ・コイル監督、「アダルト アニメーション」からは『Raise the Bar』のフェルナンダ・フリック監督。そして「ANIME」からが『B: the Beginning』の中澤一登監督である。
 中澤監督が『キル・ビル』のアニメパートを手がけたと紹介されると会場からはどよめきが湧き上がった。言葉少なめの中澤監督ではあったが、その一言一言に会場が聴きいった。

 またここが初出しとなる発表も行われた。目玉は『B: the Beginning』のセカンドシーズン決定である。『B: the Beginning』は映画祭のテレビ部門のオフィシャルコンペにも選ばれており、Netflixが『B: the Beginning』に相当注力していることがわかる。
 米国生まれのNetflixは数話から十数話程度からスタートし、評判がよければ第2シーズン、第3シーズンと重ねるスタイルを取っている。『B: the Beginning』の続編決定は、本作がグローバルマーケットのなかで確かな人気を博していることがわかる。ストーリーの今後はもちろん、ビジネス的にもどこまで成長していくのか気になるところだ。 

 一方でイベントからはNetflixの様々な戦略も窺えた。ヨーロッパで実施されたが、ゲストのコイル監督はカナダ、フリック監督の『Raise the Bar』はチリに拠点を持つ。『B: the Beginning』のプロダクション I.Gは日本だから、ジャンルだけでなく地域もグローバルに分けられている。
 同時にアヌシー映画祭の戦略も興味深い。2018年5月には、Netflixがカンヌ国際映画祭から締め出されたことが大きな話題を呼んだばかり。それが同じフランスのアヌシーでは積極的に配信を中心とした新興勢力とのつながりを強化する。今年の会場ではNetflixだけでなく、AmazonスタジオやGoogle Spotlight Storyなどの参加もあった。
 急激に変わる映像業界と勢力を増す配信プラットフォーム。そのなかでアニメーション関係者はどう付き合っていくべきなのか、そうしたことも考えさせるアヌシー映画祭のなかの「Netflixスタジオフォーカス」であった。

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