U-NEXT、定額課金配信で米国ワーナーと独占配信契約 HBO Maxタイトル上陸


 定額課金映像配信サービスの国内大手U-NEXTが、さらなるユーザー獲得に向けた取り組みに乗り出す。2021年3月30日、U-NEXTは米国のメディアコングロマリットのワーナーメディアと独占パートナーシップ契約締結を明らかにした。
 U-NEXTはこのパートナーシップ契約で、ワーナーメディア傘下の放送局「HBO」と映像配信プラットフォーム「HBO Max」のオリジナル新作の国内独占配信を獲得する。4月1日からの第一弾のタイトルにはリドリー・スコットが製作総指揮を執る話題作『レイズド・バイ・ウルブス / 神なき惑星』が含まれる。さらにHBOのドラマシリーズ『The Nevers』、スティーヴン・スピルバーグ製作総指揮の『Oslo』、プロゴルファーのタイガー・ウッズの軌跡を追ったドキュメンタリー『タイガー・ウッズ / 光と影』などが並ぶ。

 契約ではワーナーメディアがライセンス可能なHBOオリジナルの新作TVシリーズとドキュメンタリー、映画す、そしてHBO Maxオリジナルの新作テレビシリーズ、ドキュメンタリーが全て含まれる。U-NEXTは質が高いオリジナル作品を大量に囲い込むことで、ラインナップの充実をいっきに高める。
 国内定額課金映像配信サービスでU-NEXTは現在シェアトップ3の一角を占めていると見られている。しかしライバル企業が多く、競争は激烈だ。なかでもNetflixやAmazonプライム ビデオといった外資系サービスは豊富な資金を投じて製作するオリジナル番組で差別化している。そのサービスでしか観られない独占コンテンツは今後の事業の勝敗を左右するが、国内市場だけでビジネスするU-NEXTがこれに対抗するのはハードルが高い。そのなかで海外有力サービスであるHBOとHBO Maxの番組を独占的に提供できることは大きな武器になる。

 HBOはワーナーメディア傘下のケーブル専門局である。米国ではケーブル専門局は視聴者獲得、番組製作で大きな力を持っているが、そのなかでもトップクラスの存在だ。代表作には『セックス・アンド・ザ・シティ』や『ゲーム・オブ・スローンズ』などがある。
 そのHBOブランドを定額課金配信サービスに展開したのがHBO Maxだ。2020年5月にスタート、まだ10ヵ月しか経たないが米国ではNetflix、Disney+、Amazonプライムビデオと並ぶ存在である。
 問題はNetflix、Disney+、Amazonプライムビデオの3社がすでに日本進出しているにも関わらず、HBO Maxは日本でサービスしていないことだ。米国外進出はすでに取りざたされていたが、日本では自社サービスでなく、U-NEXTへ独占的番組供給のかたちになった。すでにサービス会社が乱立するなかに新規にサービスインするのでなく、既存の有力プレイヤーと提携することを選んだ。ビジネスリスクを抑える合理的な戦略である。U-NEXTとワーナーメディアのWin-Winの提携は、ライバル企業に対しても大きな波紋を巻き起こすに違いない。

 今後の焦点は、今回の提携に含まれなかったワーナーメディアの他の作品の行方だ。例えば米国では劇場公開と同時にHBO maxでも配信する長編映画が、今回の契約には含まれていない。またカートゥーンネットワークなどが絡むオリジナルのアニメ作品の扱いも言及されていない。
 ワーナーグループの日本法人ワーナー ブラザース ジャパンは、『ジョジョの奇妙な冒険』といった日本の人気アニメを多く製作する。アニメは定額課金配信サービスのユーザー獲得に強い吸引力を持つが、これらも独占配信番組に含まれていない。これらの作品の今後の方針も、各社の関心を惹くに違いない。

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