玩具大手タカラトミーの前社長であるハロルド・ジョージ・メイ氏が、キャラクター・トレーディングカード事業のブシロードの取締役に就任する。2018年5月23日、ブシロードの臨時株主総会が開催され、新役員として選任された。
メイ氏は取締役に加わると同時に、最高戦略責任者(CSO)にも就任する。またブシロードのグループ会社である日本プロレスリング株式会社代表取締役社長兼CEOへも就任する。
ブシロードの取締役会は代表取締役社長の橋本義賢氏、同社の創業者でデジタルコンテンツ事業・広報宣伝管掌の木谷高明氏、日本IBM、アクワイアを経て同社に入社した広瀬和彦氏、そして今回のメイ氏の4人で構成される。
メイ氏は1963年オランダ生まれ。ハイネケン・ジャパンをスタートに、日本リーバや日本コカ・コーラなど外資系日本法人でキャリアを重ねてきた。2015年に大型海外M&Aで経営不振に陥ったタカラトミーに代表取締役社長兼CEOとして招かれ、業績回復に大きな実績を残した。
しかし、2017年12月に人気途中で突然辞任を発表し、業界を驚かせた。その次のキャリアとして新興キャラクター会社のブシロード、そして新日本プロレスを選んだ。異色の玩具会社社長が、さらに異色なキャリアを選んだかたちだ。
ブシロードは上場企業であるキャラクター会社ブロッコリーの創業者でもあった木谷氏が、2007年に新たに創設した会社である。当初はトレーディングカードゲームを中心としていたが、現在はスマホアプリゲームなどのデジタルコンテンツ、ライブイベント、さらに音楽会社、声優事務所、アニメ製作出資もする。
なかでも老舗プロレス団体の新日本プロレスリングのグループ会社化は世を驚かせた。現在は巨大なエンタテイメントグループを形成する。
グループが巨大になるに連れて、経営体制も変わりつつある。当初は、個性の強い木谷氏のリーダーシップで経営をしている性格が強かった。しかし木谷氏は、2017年10月にグループ主要会社のブシロードの代表取締役社長を橋本義賢氏に引き継いだ。
橋本義賢氏は、コスパ創業メンバーで代表取締役を務め2015年よりブシロードに入社している。さらに大企業の社長経験者であるメイ氏を迎えることで、経営陣の総合力で動く体制を模索していることが窺われる。
またブシロードは新たな領域としてデジタルコンテンツ、そして海外事業の拡大を目指している。デジタルコンテンツは日本IBM出身の広瀬氏、海外事業が外資系企業の経験豊富なメイ氏に期待する方向性も見える。
創業から10年で急成長してきたブシロードは、自ら大胆に代わることでさらなる成長を狙っているようだ。