アヌシー映画祭、日本からもノミネート TVシリーズに「チェンソーマン」など

アヌシー国際アニメーション映画祭 2023年

 世界最大規模の国際アニメーション映画祭として知られるアヌシー国際アニメーション映画祭が、2023年も6月11日から17日までフランスで開催される。すでに長編部門以外のコンペティション作品が発表されている。今年から開催日が1日増えることもあり、上映作品の数はまさに世界最大規模に相応しいほど充実している。
 2023年は長編部門以外で世界77ヶ国から1665本の作品がエントリーされた。この中から短編部門4つのカテゴリーのほか、学生部門、テレビ部門、受託部門も含めて合計174本がコンペティションに選ばれた。採択率は約10倍という狭き門である。

 近年のエントリー数増加やより幅広い作品を見せる意図もあり、短編部門がより細分化されているのが最近のアヌシーの特徴だ。本コンペであるオフィシャル短編部門のほか、オフリミット短編部門、パースペクティブ短編部門、ヤングオーディエンス短編部門がある。それぞれ37作品、7作品、19作品、8作品が選出されており、全部で71作品にもなる。
 ただし日本からの作品は少なかった。日本出身でカナダにて制作をしたヨシダ・カホさんの『Tongue』以外の作品が見られない寂しい結果となった。日本だけでなく、中国や韓国といった東アジアの作品もコンペティションにほとんどみられない。イランやインドなどの新興国からの作品はあるが、全体としてはヨーロッパ勢が強い傾向だ。

 学生部門(Graduation films)には、日本の大学から3作品が選ばれている。東京藝術大学大学院の高玉馨さんの『ペットボトル虫 BOTTLED INSECTS』、そして『Sewing Love』のキョガンさんは多摩美術大学大学院、『TOMOYA!』の木原正天さんは多摩美術大学の出身だ。全47作品でアワードを競うことになる。

 近年作品数が増える傾向にあるテレビ部門は、27作品が選ばれている。日本からはジャンルや表現が異なる3作品が選ばれている。
 ひとつは人気マンガを原作にMAPPAがアニメーションを制作した『チェンソーマン』。映像クオリティの高さで話題となった手描き2Dを中心とした作品だ。
 3DCGからはポリゴン・ピクチュアズがアニメーション制作を担当した『MECH CADETS』。日米のクリエイターによって作られたSFコミックをジュブナイルな冒険アクションにしている。2023年にNetflixで独占配信を予定する日米合作である。
 最後はNHK Eテレで放送される『プチプチ・アニメ Liv&Bell』。クリエイターの喜田夏記さんが、様々なアニメーション手法を駆使して映像化する短編シリーズである。
 さらに米国作品ではあるが、日本人監督の堤大介さん、脚本を岡田麿里さんが担当した『ONI ~ 神々山のおなり』が選ばれている。作品の幅の広さが映画祭を盛り上げることになりそうだ。

 映画開幕まで、残りあと2ヵ月。コンペティションで気になるのは、残る長編部門の作品発表だ。さらに期間中のイベントや招待作品など、今後発表される華やかな企画が期待できそうだ。

アヌシー国際アニメーション映画祭
https://www.annecyfestival.com/home

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