タカラトミー通期決算で利益急伸 トミカ、リカちゃんなど定番商品が過去最高

ファイナンス決算

 玩具大手タカラトミーの業績回復が際立っている。2018年5月11日に発表された通期決算で、増収増益を実現した。前年は利益の急回復があったが、その水準をさらに超え、過去最高の利益となった。
 連結売上高は1773億6600万円(5.8%増)。また営業利益は131億9900万円(70.4%増)、経常利益は124億2000万円(58.8%増)、当期純利益は79億6200万円(48.2%増)である。

 業績を牽引したのは、日本市場での定番商品の人気が大きかった。期中に発売50周年を迎えた「リカちゃん」は、周年キャンペーンもあり売上高が過去最高を記録した。
またトミカはテレビアメを放送した「トミカハイパーレスキュー ドライブヘッド」が、プラレールは2018年1月の放送開始した「新幹線変形ロボ シンカリオン」の成功が大きかった。定番商品とアニメの連動がうまく回った。
 「リカちゃん」「トミカ」「プラレール」の3ブランドの売上高は、過去4年で1.5倍の水準となっている。ブランド力の高さを活かしたかたちだ。

 一方でアジアを除く海外は、依然厳しい。北中南米は事業再建を目的とした「選択と集中」を進めていることから売上高は234億1500万円と17.9%の二桁減。それでも利益は2億3600万円(19.5%増)を確保した。
 欧州は「ポケモン」は堅調だったが、ベビー商品・プリスクール関連用品が厳しかった。売上高73億22200万円(14.6%減)、営業損失2億3900万円と依然赤字から抜け出せない。
 オセアニアはキャラクター玩具が低調だった。売上高20億6700万円(17.6%減)、営業損失2億4000万円の赤字転落である。

 アジアは好調だった。売上高535億4200万円(12.1%増)、営業利益8億円(10.3%増)の増収増益である。「ベイブレードバースト」が全体を牽引した。韓国、香港、台湾に続き、東南アジアでもテレビアニメの放送が始まり市場が拡大した。
さらに「トミカハイパーレスキュー ドライブヘッド」、「ポケモン」、2017年夏に大作映画公開された「トランスフォーマー」なども貢献した。

 欧州、アメリカなどでの苦戦は続くが、主力の日本、そしてそれに次ぐアジアでの好調で、タカラトミーは波に乗っている。決算と同時に発表された新・中期経営計画では2020年3月期で売上高1900億円、営業利益で140億円を目指す。
 課題は直近の成功パターンを継続出来るのか、そして欧米事業の立て直しである。また経営再建の立役者であったハロルド・メイ社長が2017年12月に突然辞任した影響も気になるところだ。国内第2位の玩具会社の行方は、業界全体の趨勢にも影響があるだけに目が離せない。

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