エイベックス、アニメ事業は減収減益 パッケージソフト36%減が響く

ファイナンス決算

 エンタテイメント大手のエイベックスの2018年3月期通期決算は、利益を大幅に伸ばした。連結売上高は1633億7500万円(1.1%増)だったが、営業利益は69億3900万円(21.1%増)、経常利益は65億8200万円(46.9%増)、当期純利益は26億100万円となった。
 音楽ライヴの動員数が増加したこと、その関連ビジネスが好調だったことが大きかった。また音楽ソフトでは安室奈美恵の『Finally』が23万8500枚の大ヒットになった。エイベックスの2017年の国内音楽パッケージセールスのシェアは17.5%でトップ。ライバルのソニー・ミュージックエンタテインメントやユニバーサルを抑えて、6年連続である。

 しかし近年好調を続けてきたアニメ事業は、厳しい数字となった。売上高142億6500万円(17.7%減)、営業利益は14億700万円(57.6%減)であった。
 アニメのパッケージ商品が前年の78億5200万円から50億1500万円と36.1%減と大きく落ち込んだのが響いた。アニメDVD/Blu-rayの販売は1枚当たりの単価は5031円から5282円に上昇したが、売上げは118万6000枚から60万7100枚に下がった。『おそ松さん』第1期に匹敵するようなヒットがなかったためとみられる。
 一方でパッケージソフト以外のアニメノンパッケージ事業は92億5100万円(2.5%減)とほぼ前年並みだった。この結果アニメ事業に占めるノンパッケージの割合は6割強、パッケージソフトは4割弱になる。パッケージ以外の事業の重要性が増しているアニメ業界全体のトレンドも反映したかたちだ。

 今後もノンパッケージ部門の強化が続きそうだ。期中にグループ化したゲーム会社イクストルとの協業の成果が今後現れるとみられる。
 またVRのトレンドセッターとなっているXVI Inc.(株式会社エクシヴィ)とバーチャルYouTuberを用いた企画を進める。バーチャルYouTuberが女優として出演する短編アニメ映画を制作する予定だ。アニメと新技術、新しい潮流の融合を目指す。

 デジタル事業は、映像配信サービスの一部で撤退があったことから売上高は227億7100万円(22.0%減)となった。しかし、不採算サービスを整理したことで利益は伸びた。営業利益は17億5800万円と前年の9億9500万円の損失から大きく改善した。
 海外事業は米国での先行投資が続き14億4500万円の赤字となった。売上高は20億5000万円(33.7%増)である。

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