音楽・映像事業のエイベックスは、5月9日に2024年3月期通期連結決算を発表した。売上高は主力の音楽事業が前年比20.2%増と大きく伸びたことから、1333億8700万円と前年比9.7%増の増収を確保した。
しかし利益面では、営業利益が51.7%減の16億3300万円、経常利益が62.9%減の15億600万円と苦戦している。固定資産の減損や貸倒引当金などの特別損失を計上したこともあり、当期純利益は9億8700万円(64%減)にとどまった。
利益の減少は積極的な続けているIP創出への投資が大きい。一方で海外向けの投資総額が想定を超えているほか、投資からのマネタイズの遅れがでている。
アニメ・映像事業も増収になったものの、大幅減益で赤字に転落した。売上高は161億1800万円と5.7%増だったが、前年6億2100万円だった営業収益が7億5000万円のマイナスとなった。
特に厳しかったのはBlu‐rayやDVD、CDなどのパッケージ部門で、売上高は21億5800万円と43.5%の減少になる。海外向け販売やイベントなどのノンパッケージ部門は22.1%増と大きく伸びて、売上高は139億6000万円だった。売上げに占めるパッケージ比率は13%まで低下した。2024年3月期の主力タイトルは、『MFゴースト』や『天国大魔境』、自社原作の『Paradox Live THE ANIMATION』などだ。
ノンパッケージ部門の成長はあるが、アニメ・映像事業の成長戦略はやや遅れ気味だ。外部の強力タイトルの獲得や大型ヒットの不在で当初計画を下回っている。
今後は「早期からの海外・配信・映画市場に向けた展開」、「外部スタジオとのパートナシップ及び自社制作力の更なる強化」、「強力な外部IP獲得のための競争力の強化」、「長期継続展開と収益の最大化が可能な大ヒット作品の創出を˽意識した取り組み」で事業開発を目指す。25年3月期には『嘆きの亡霊』、『君は冥土様。』、劇場アニメ『ルックバック』、KING OF PRISM Projectなどの作品が控える。