小学館と丸紅が日本のマンガやアニメの世界展開で手を組む。両社はコンテンツのグローバル展開を目的とした新会社「株式会社MAG.NET」を2024年6月に設立したと発表した。
MAG.NETには、小学館と丸紅、丸紅フォレストリンクスが共同出資する。小学館は国内大手の出版社、丸紅は総合商社大手、そして丸紅フォレストリンクスは丸紅の100%出資の子会社で洋紙、板紙などが主要事業でマンガ雑誌などに向けた用紙事業も手がけている。代表取締役には小学館の代表取締役社長である相賀信宏氏が就任した。
MAG.NETの設立は、近年のマンガやアニメ産業の急成長が背景にある。新会社はマンガやアニメが世界中で人気になる一方で、こうした作品や関連の商品の販売チャネルが十分に築かれていないと指摘する。日本企業が海外に直接的な流通網や小売店舗を持っていないことで、世界のファンに作品や商品を届け切れず機会損失が発生している。海賊版商品の氾濫もこうした状況が理由だとする。
MAG.NETの主要事業は、マンガとアニメや関連商品の販売事業となる。正規品を届ける体制を構築することで、売上げと利益の確保また海賊版商品の対策にする。さらに最新テクノロジーを活用したデジタルコンテンツといった領域でもビジネスも目指す。
小学館は出版やアニメ業界とのつながりをもとに各社へMAG.NETへの参画を声かける。商品流通ではグループ会社のTokyo Otaku Modeとも連携する。
丸紅とフォレストリンクスは国内で外の小売店舗や流通網を構築する。日本コンテンツ流通のインフラづくりを担うことになる。
今回のプロジェクトで注目されるのは、国内大手出版社と総合商社大手が共同で取り組むことだろう。アニメ業界、マンガ業界とも、近年は周辺事業を含めて急成長をしている。こうした状況で放送局、映画会社、IT企業などの業界進出が相次いでいる。
総合商社もまたそうしたプレイヤーのひとつとして注目されている。住友商事はグループ会社のアスミック・エースを軸にアニメビジネスを手がけ、伊藤忠商事は今年春にスカパーJSATが設立したアニメ事業会社スカパー・ピクチャーズに出資した。丸紅の動きはこれらに続くものになる。近年はアニメ事業に動きの少なかった丸紅だけに、その動向が注目される。
MAG.NET
https://www.magnet-global.net/