プロダクション I.G、ウィットスタジオ、シグナル・エムディなどを束ねるアニメ製作大手のIGポートが、2020年4月10日に2020年5月期第3四半期((2019年6月~2020年2月)の連結決算を発表した。第1四半期、第2四半期に続き、安定した業績となっている。
売上高は68億4300万円と前期比2.2%増で微増だが、コスト管理などの成果で利益が大きく改善した。前年同期に5億1700万円の赤字だった営業損失は3億5000万円の黒字に浮上、同様に経常利益は5億1800万円の赤字から3億4800万円の黒字、経常利益は5億700万円の赤字から1億7900万円の黒字に転換した。
業績の改善は特に映像制作事業に表れている。売上高は45億5500万円(2.9%減)だったが、営業利益が5億3100万円の損失から1億4300万円の利益に転じた。CG制作費や外注費は依然高騰しており、制作期間も長期化しているが、納品作品の一部に改善がみられたとしている。
第3四半期の主要作品は、映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』、配信アニメ『攻殻機動隊 SAC_2045』、テレビアニメ『ハイキュー!! TO THE TOP』などだった。
版権事業は、売上高10億2500万円(2.6%減)、営業利益は2億1500万円。製作出資の減価償却費が減少したのが、利益の拡大につながった。同事業の主力タイトルは、『進撃の巨人』、『サイコパス』、『銀河英雄伝説』などだった。
出版事業の売上高は10億8100万円(38.9%増)、営業利益は1億1600万円(113.4%増)だった。電子書籍の売上が好調である。ヒット作には『リィンカーネーションの花弁』『転生貴族の異世界冒険録』が挙げられている。
第3四半期までは好調を維持したがIGポートだが、今後の見通しは不透明だ。現状で通期連結決算の業績予想は、売上高108億円で増収黒字は変更していない。しかし、将来予測については新型コロナウイルスの拡大の影響による制作遅延の可能性に言及している。
IGポートは感染症の広がりにより、自社従業員、クリエイター、取引先で在宅勤務に対応した場合、あるいは感染が発生した場合は、映像制作の全ての工程で遅れるが生じる可能性があるとする。またアニメーション制作のうち動画作業を中国に発注する場合があり、相手先企業で従業員の感染があった場合に業務遅延が発生する可能性も指摘する。
映像制作の遅れにより、納品が期日に間に合わない場合は、グループの業績に影響を与えることになる。業績予想の修正が必要となった場合には、直ちに開示するとしている。