「NOLIFE」が放送終了 フランスの日本ポップカルチャーチャンネル 11年の歴史に幕

テレビ

 2007年よりフランスで、日本のポップカルチャー番組を提供してきてケーブルテレビ局「NOLIFE」が2018年4月8日を最後に放送終了することが明らかになった。4月1日、同局の放送番組内で発表された。
 近年、NOLIFEは赤字と負債に苦しんでおり、放送事業の継続が困難になるとして昨年夏以来、公に新たな投資家を探していた。しかし、どの企業とも合意に達することはなく、今回の放送終了の決断に踏み切った。11年にわたる歴史の幕を閉じる。

 NOLIFEは2007年にセバスチャン・ルシェ氏、アレクサンドル・ピロ氏がベンチャー企業のケーブルチャンネルとしてスタートした。ケーブルテレビのほか衛星チャンネル、インターネットテレビでも放送をしている。
 日本のアニメ、マンガ、ポップミュージック、ファッションを中心に、コアファン向けの視聴者にバラエティ、情報、ドキュメンタリーにフォーカスしていたことだ。日本のポップカルチャーはフランスでも人気を獲得していたが、ニッチなターゲットでもあり異色のチャンネルだった。それだけに日本カルチャーのフランス語圏の普及に大きな役割を果たしてきた役割は大きい。

 チャンネルは狙いどおり、若い世代で人気を集めたが、一方で市場のニッチさもあり、開局当初より広告営業などで苦戦してきた。近年は、ビデオゲームのセクションを設けるなどテコ入れも図ったが、形勢を逆転することが出来なかった。また近年は、YouTubeをはじめとするインターネット動画配信と視聴者が競合していたとも見られる。
 アニメの配信では同じフランスのワカニムや、グローバルプラットフォームのNetflixなどの利用が広がっている。しかし、情報番組が多かったNOLIFEがなくなることは、フランスでの日本カルチャーの振興という点では大きな損失になりそうだ。

「NOLIFE」  https://www.nolife-tv.com/

関連記事

アーカイブ

カテゴリー

ピックアップ記事

  1. 太素(TAISU)
     『カウボーイビバップ』の渡辺信一郎監督、『九十九』で米国アカデミー賞短編アニメーションにもノミネー…
  2. かがみの弧城
     本屋大賞に輝く辻村深月の『かがみの孤城』は、ベストセラーとして世代を超えて支持を集めてきた。学校で…
  3. クランチロール
    末平アサ氏(チーフコンテンツオフィサー)インタビュー  2021年8月にソニーグループが、米国に拠…
ページ上部へ戻る