動画の中割を自動化、シンガポールのアニメ制作ソフト「CACANi」現場投入スタート

CACANi(カカーニ)

 アニメーション制作の仕事のなかでも特に人手がかかることで知られる動画に、大きな変化が起きるかもしれない。アニメーターの作業負担軽減を目的にシンガポールで開発された制作ソフトCACANi(カカーニ)が、日本国内で展開されることになった。
 クリエイター関連事業の大手クリーク・アンド・リバー社(C&R社)は、CACANiの日本国内販売の総代理店契約をしたことを発表した。2018年夏より、正式販売を開始する。

 CACANiの最大の特長は、自動中割り生成機能の搭載である。アニメの動画作業では、まず原画担当者が動きの起点となるキーフレームを描く。さらに動画担当者が、複数のキーフレームの間をつなぐ中割と呼ばれる絵を描き、全体をつなげた時に動いて見えるようにする。中割は枚数が多く、人手と時間がとりわけ多く費やされる作業だ。
 CACANiの自動中割り生成機能は、キーフレームをもとに中割の作業を自動的に行う。さらに動画から彩色に直結しており、デジタル作画で描くことも合わせて、アニメーション制作作業の大幅な時間短縮につながる。

 ただし中割はキーフレーム間での枚数が厳密に決められているわけでなく、また均等に時間を割って描くわけではない。動きのメリハリもつける高度な技術も必要だ。これまでにも自動中割のソフト開発の試みはあったが、普及には至らなかった。CACANiが日本のアニメーション制作者の高い要求を満たすかが、今後の展開のポイントになるだろう。
 そのためにCACANiは日本国内でさらに研究開発を進める。アニメ企画・製作、そしてアニメーション制作の有力スタジオであるデイヴィッドプロダクションとの協業が決まっている。その技術はすでに同社が制作する作品に用いられている。現場からのフィードバックでさらに機能を高めることを目指すことになる。
 C&R社も自社内に、CACANiに特化したデジタル作画のアニメ制作スタジオを設立する予定だ。こうした動きがアニメーション制作に革命を巻き起こすのか注目される。

 CACANiは4月4日から6日まで東京ビッグサイトで開催されるコンテンツ東京2018のC&R社ブースでも展示される。ブース内ではCACANiの実演ライブも行う。

CACANi(カカーニ) https://cacani.sg/
クリーク・アンド・リバー社 http://www.cri.co.jp
デイヴィッドプロダクション http://davidproduction.jp/

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