2024年1月25日から28日まで、フランスでアングレーム国際漫画フェスティバルが開催される。フランスのバンドデシネをはじめ、日本のマンガ、米国のコミックスと世界中から作品と作家、それに出版関係者が集まる一大イベントだ。
2023年は開催50周年の歴史的な節目でイベントも多くて話題になったが、来年は新たな歴史の第一歩として盛り上がりが注目される。
そのなかで活躍が期待されるのが、日本のマンガだ。開催国となるフランスでは近年日本のマンガが急速に普及しており、アングレームでもなくてはならない存在になっている。前回は第50回特別賞を『進撃の巨人』の諫山創が受賞したほか、池上遼一と伊藤潤二が名誉賞を受賞。さらにシリーズ賞には押見修造『血の轍』、遺産賞に坂口尚『石の花』が選ばれるなど、とりわけ多くの脚光を浴びた。
2024年も、こうした流れは続きそうだ。この12月にフェスティバルがセレクション作品を発表した。このうちメインコンペになるオフィシャルセレクションは45作品、日本作品からも6作品が選ばれている。
まず石塚真一の『BLUE GIANT EXPLORER』、劇場アニメ化もされた人気シリーズの第3部にあたる。藤本タツキの『チェンソーマン』もアニメ化で話題を呼んだタイトルだ。南勝久『ザ・ファブル』 も実写映画化に続き、ちょうど2024年春からアニメシリーズの放送が決まっている話題作だ。真鍋昌平の『九条の大罪』と共に、日本の裏社会を描いた作品が並んだのは面白い。
アングレームは大衆的に人気だけでなく、文学性の高さに着目してマイナーな作品もすくい上げるのも特徴だ。カネコアツシの『EVOL』、ユーモラスなイラストとブラックな世界が共存する本秀康の『たのしい人生』はそうした作品だ。これらの作品に最終日に発表される各賞の期待もかかる。
日本作品の割合がとりわけ高いのが、歴史に残すべき作品として選ばれる遺産賞だ。今回のセレクションは7作品、うち4つが日本のマンガとなった。
萩尾望都『ポーの一族』、さいとうたかを『娼婦ナオミ夜話』、つげ義春『雨の中の慾情』、ヘンリー木山義喬『漫画四人書生』。日本作品だけでも、どれが受賞しても不思議ではない。
環境問題に焦点を絞ったエコ・FAUVE RAJA部門に宮崎駿の『シュナの旅』、推理サスペンスストーリーを対象にしたFAUVE・ポーラSNCF ボヤージ部門に中村明日美子の『ウツボラ』の名前が挙がる。
若者向け部門は18作品が選ばれている。このうちコマツシンヤ『午后のあくび』、NAOE『東京エイリアンズ』、荒川弘『黄泉のツガイ』が日本からの作品だ。
期間中はこの他、萩尾望都のレトロスペクティブ展「ジャンルを超えて(AU-DELÀ DES GENRES)」や沙村広明を取りあげた『身体と兵器(CORPS ET ARMES)』といった企画展もある。世界各国の作品と共に注目を浴びそうだ。
アングレーム国際漫画フェスティバル
FESTIVAL DE LA BANDE DESSINÉE D’ANGOULÊME
https://www.bdangouleme.com/