JETROがフランス・英国のアニメ市場の最新調査レポートをリリース


 日本企業の海外事業展開を支援するJETRO(日本貿易振興機構)が、調査レポートで英国とフランスの映像コンテンツマーケットを取りあげている。ジェトロ新産業開発課とジェトロ・ロンドン事務所が「英国・フランスにおけるコンテンツ産業調査(2019年3月)」をまとめて公式サイトにて無料で配布している。
 レポートのタイトルは“コンテンツ産業”としているが、内容は「テレビ放送」「劇場アニメ」「DVD」「インターネット配信」の4分野の映像コンテンツに絞られている。また両地域とも日本から輸出する映像番組に占めるアニメの割合から、その多くがアニメに関するものなのが特長だ。総ページ数73ページにはJETROならの表やグラフといったデータや数値資料も豊富で、ビジネスの現場でも活用出来そうだ。

 世界の主要市場のひとつと知られる西ヨーロッパのなかで、英国とフランスはドイツやイタリアと並ぶ大国だ。また地理的な近さもあり、そのマーケット状況を似たものと思われがちである。
 しかし日本アニメに関する限りでは、ヨーロッパ一の市場とされるフランスと他国に比べて関心が薄い英国はビジネスでは対象的な存在である。今回両国を並べて調査レポートとすることは興味深い。
 実際に英国パートでは日本アニメがニッチな存在である、子どもマーケットが中心であることが言及されている。対象的にフランスでは18 歳以上のフランス人の4割がアニメを視聴しているなど、よりポピュラーなことがわかる。
 両国で共通するのは配信事業の可能性だ。英国ではテレビ放送の重要性は変わらないが配信が人気拡大に一役買っているとのこと、フランスでは配信向けのコンテンツ需要が高まっているとしている。
 しかし切り離された別の市場に見える両国だが、必ずしもそればかりではない。フランスのCanalが英国でスタジオジブリを配給するOptimum Releasingを買収する一方で、イギリスの新興企業Anime Limitedはフランスにも進出する。
 またDVD/Blu-rayのマーケットが急縮小していること、NetflixやAmazon プライムビデオといった米国の配信会社がよく使われているのも共通する特徴だ。

 資料面では、変化が激しい現地主要企業、バイヤーリストがアップデートされていることが有難い。また現地企業のインタビューでは、インタビュイーにより異なる見解があるのも参考になる。
 以前に比べてコンテンツ、特にアニメ分野のJETROの調査レポートは現状傾向にある。それだけに個々のレポートの重要度はあがっている。

英国・フランスにおけるコンテンツ産業調査(2019年3月)
https://www.jetro.go.jp/world/reports/2019/02/9d4016c7dfbd6add.html

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