北米アニメ業界関係者が最新情報などをトーク AnimeJapan2018の連動セミナーレポート

「オンラインとリアル」北米アニメ市場攻略法 セミナー

 VIPO内J-LOP4補助金事務局は、2018年3月23日に東京ビッグサイト会議棟にて、日本アニメの北米ビジネスをテーマにしたセミナー「「オンラインとリアル」北米アニメ市場攻略法」を開催した。北米のアニメビジネス関係者を中心としたゲストが、業界の最新情報を語るものだ。
 今回は2部構成とし、第一部は現在その役割が拡大しているオンライン配信やECサイトにおけるビジネス、第二部はフェース・トゥ・フェースを活かしたファンコンベンションをテーマに取り上げた。オンラインとリアル対照的な方向から、北米市場の可能性を探った。モデレーターは両パートともTOKYOPOP創立者のスチュウ・リービー氏が務めた。

 第一部では、まずマーケットの現状がテーマになったが、最初に発言したファニメーション(FUNimation)のアダム・ゼナー氏からは、オンライン上のストリーミング配信が伸びる一方でDVD・Blu‐rayの販売も伸びているとの意外な指摘があった。配信は終了することもあるので、保存用としてDVD・Blu‐rayを購入する人も多いのだという。さらに配信をきっかけに商品を買うファンもいるという。配信に市場を喰われているのは、テレビではないかとする。
 また作品の購入にあたっては、定額購入をするNetflixやアマゾンなどに較べて、利益配分の仕組みを取る私たちのほうが製作者にとってはいいはずとも言う。ファニメーションは90年代から続く日本アニメビジネスの老舗だが、新興勢力である配信業者に対するライバル意識の強さが感じられた。

 一方、その日本アニメ配信で大手のクランチロール(Crunchyroll)のガオ氏は、視聴者の変化について言及した。サービスの主要な視聴者は18歳から25歳、ただし無料サービスの中心が18歳であるのに対して有料サービス20代半ばが中心だと言う。
 依然は男性の視聴者が多いが、最近は女性が増えている。これによりこれまでライセンスが少なかったロマンスもの、スポーツものといったジャンルが正規に紹介されるようになった。オンライン配信が作品の幅を広げているというわけだ。

 また北米ファン向けにECサイトを運営するRight Stufのショーン・クレックナー氏は、日本との情報スピードの格差を課題としてあげた。このため配信開始に合わせた十分な商品が供給されないとする。マーチャンダイジングは商品を増やせばもっと売れるはずと強調する。
 ECは日本アニメの今後の海外市場拡大の可能性が高い分野とされるだけに気になる発言だ。日本と同様に、作品と商品の連動がこれからますます求められそうだ。

 第2部では、北米を代表するアニメコンベンションからアニメセントラルとオタコンが登場。北米におけるコンベンションの成長ぶりを紹介した。
 また世界各地で日本の音楽のイベントをコーディネートするYaz Noya-Collins氏からは、どこにファンがいるのかを考えるのが大切との指摘があった。アニメコンベンションはそれぞれ個性があり、求められるアーティストやジャンルも異なるという。きちんと考えなければ成功も覚束ない。
 日本のアニメやマンガは確かに海外で人気だが、作品を単純に送り出すだけの時代は終わっている。誰に何を売り、いつ、誰に、どのようなかたちで届けるべきか、より細やかな戦略が必要とされている。そうしたことを改めて認識させるセミナーであった。

「オンラインとリアル」北米アニメ市場攻略法 セミナー
2018年3月23日(金) 
会場 東京ビッグサイト 会議棟

「北米オンラインマーケット最前線」
クン・ガオ (Crunchyroll 共同創業者・ジェネラルマネジャー)
アダム・ゼナー (FUNimation アクエッション・ライセンス担当バイスプレジデント)
ショーン・クレックナー (Right Stuf 代表取締役CEO)

「リアル マーケティング ストラテジー」
フィリップ・ワード‐シュミット (Anime Central エキビジョンディレクター)
キンバリー・メラニ (Otakon オタコープ・バイスプレジデント)
Yaz Noya-Collins (Lynks International プレジデント)

モデレーター: スチュウ・リービー(TOKYOPOP)

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