ソニーグループが2021年10月28日に2022年3月期決算発表をしたが、売上げ拡大が続いている。第2四半期までの連結売上高は4兆6262億円で前年比13.7%増だ。営業利益は5985億円(1.0%減)、当期純利益は4249億円(34.8%減)となった。通期では売上高9兆9000億円、営業利益1兆400億円、当期純利益7300億円を見通す。
売上げのうちゲーム&ネットワーク、音楽、映画の各分野とも売上げを伸ばし、3分野合算で約2兆2千億円となる。売上げの約半分がエンタテイメント領域から生まれている。ソニーグループにおけるエンタテイメント事業への成長期待、存在感はますます大きくなりそうだ。
なかでもアニメ事業への関心は大きい。今回の決算発表でも「アニメ事業成長戦略」と題して、アニメへの取り組みが説明された。アニメ事業を重視するのは、海外での成長率の高さだ理由だ。ソニーは2014年以降、海外での日本アニメは年平均30%成長しているとする。
そして今期の大きなトピックとして、8月9日のクランチロールを運営するイレーション買収を挙げた。クランチロールは世界有数のアニメの配信プラットフォームで、すでに海外アニメ事業の子会社となっているファニメーションと経営統合することでさらに充実した配信サービスを目指す。
ソニーグループのアニメ事業は音楽分野と映画事業に分れており、国内の音楽分野のソニー・ミュージック子会社のアニプレックスとそのグループ会社がひとつ、もうひとつは映画分野のソニー・ピクチャーズの子会社であるファニメーションになる。ファニメーションには、アニプレックスも共同出資している。クランチロールは、このファニメーン傘下の位置づけだ。
アニプレックスとグループ会社の売上は、音楽分野の「映像メディア・プラットフォーム事業」に区分される。こちらの売上げを事実上のソニーグループの国内アニメ事業の売上げと見てよいだろう。第2四半期までの映像メディア・プラットフォーム事業の売上高は1181億3400万円で前年同期比で5.3%の伸びだ。アプリゲームの売上増加、それにアニメ事業のライセンス収入増加が理由で、引き続き好調だ。
音楽分野全体は日本と米国のソニー・ミュージック両社を中心とするが、映像メディア・プラットフォーム事業が営業利益全体の約1/4を稼ぎだす。収益での貢献は大きい。
クランチロールはファニメーションと共に、映画分野で売上げを計上する。クランチロールの売上高、利益は公表されていないが、今回映画事業の売上げ予想の上方修正の理由のひとつにクランチロール買収が述べられている。ファニメーションと合わせて年間で数百億円から1000億円超規模の売上があるとみられる。音楽分野と映画分野を合わせるとソニーグループのアニメ事業の売上高は年間数千億円になる。ソニーグループは、アニメ事業で世界有数の存在と言っていいだろう。