GKIDSが細田守4作品の北米配給権獲得 全長編作品を揃えてブランディング

映画

 北米の映画配給会社GKIDSは、2024年3月に日本の細田守監督の複数の劇場映画の北米配給権を新たに獲得した。『時をかける少女』、『サマーウォーズ』、『おおかみこどもの雨と雪』、『バケモノの子』の4作品だ。『サマーウォーズ』、『おおかみこどもの雨と雪』は直ちに、『時をかける少女』と『バケモノの子』は来年までに、GKIDSのラインナップに加わる。スタジオ地図による細田守作品は、フランスのシャレードが海外配給権の代理人となっている。今回、GKIDSはシャレードとの交渉でこれを実現した。
 GKIDSはこれまでに2018年に北米公開した『未来のミライ』、2021年に北米公開した『竜とそばかすの姫』でも北米配給をしている。これらと合せて今回の契約で、細田守が東映アニメーションから独立した後に監督した全長編映画をまとめて取り扱うことになった。

 GKIDSは細田守作品をまとめて取り扱うことで、監督とスタジオ地図のブランドを全面の押し出したマーケティング戦略が可能になる。GKIDSはこれまで14作品をアカデミー賞長編アニメーション映画賞にノミネートに送り出し、2024年は『君たちはどう生きるか』で初めて受賞に輝いた。作品のマーケティングには定評がある。
 細田守作品でも、『未来のミライ』では米国アカデミー賞長編アニメーション映画賞、ゴールデングローブ賞のノミネートを受賞するうえで大きな役割を果たした。今回、細田作品を取りそろえたことでGKIDSは、今後はさらに新しい方法で作品を北米の観客に伝えていくとしている。まずは映画のリバイバル公開、DVDやBlu-rayの新発売が期待される。
 配給権の行方がどうなるかは現状では不明だが、今後発表される細田守監督の新作長編映画に向けたブランド戦略も取られそうだ。

 GKIDSはアニメーションや子ども向け作品に特化した米国の中堅配給会社として知られる。近年は集客力のある日本のアニメーション映画の配給を増やしている。
 スタジオジブリの全長編映画の配給を手がけていることはよく知られているだけでなく、『天気の子』などの新海誠監督の長編映画、湯浅政明監督の全長編映画などのそのラインナップは華やかだ。

関連記事

アーカイブ

カテゴリー

ピックアップ記事

  1. 第2回新潟国際アニメーション映画祭
     今年3月に初開催されて話題を呼んだ新潟国際アニメーション映画祭が、2024年3月に第2回を迎える。…
  2. 「アニメーションの表現」
     2023年10月23日から11月1日まで開催されている第36回東京国際映画祭は、昨年より上映本数、…
  3. 『いきものさん』© 和田淳・ニューディアー/東映アニメーション
     日本を代表するアニメーション作家として、いま“和田淳”を筆頭に挙げる人は多いだろう。2010年に『…
ページ上部へ戻る