東京国際映画祭アニメーション部門に7作品 東京の変化も追う

ぼくらのよあけ

 2022年9月21日、東京ミッドタウンにて第35回東京国際映画祭の記者会見が開催され、10月24日から11月2日まで10日間にわたり開催されるイベントの概要が発表された。発表の目玉は期間中の作品で、今年は主要9部門で110本が上映される。これは2021年の86本からの110本と3割近く増える。
 オープニング作品は第二次世界大戦後のシベリア抑留であった実話を瀬々敬久監督が映像とした『ラーゲリより愛を込めて』。クロージング作品は黒澤明監督の傑作をイギリスでオリヴァー・ハーマナス監督が再映画化した『生きる LIVING』、ノーベル賞作家のカズオ・イシグロが脚本を務めたのも話題だ。
 コンペティション部門には世界107ヶ国・地域から1695本の応募があった。主要部門はこのほか「アジアの未来」、「ガラ・セレクション」、「ワールド・フォーカス」、「Nippon Cinema Now」、「ジャパニーズ・アニメーション」、「日本映画クラシックス」、「ユース」、「TIFF シリーズ」から構成される。

 2022年は映画祭復活がテーマになりそうだ。2020年も21年もコロナ禍のなかで映画祭は開催されたが、海外ゲストやリアルイベントの実施は大幅に制限されていた。映画祭への来場数も落ち込んでいた。今年は上映本数の増加だけでなく、映画祭らしい雰囲気が大きく戻ってくる。
 会見に登壇したチェアマンの安藤裕康氏は、100名近い海外ゲストの招待を見込んでいることを明らかにした。また日比谷地区では初となるレッドカーペット、交流ラウンジも復活する。TOHOシネマズ 日比谷、丸の内 TOEI、丸の内ピカデリーが上映劇場に加わるなど会場も大幅に拡大する。

©コロリド・ツインエンジンパートナーズ

 アニメーション映画の上映はジャパニーズ・アニメーション部門の7作品。直近公開の『雨を告げる漂流団地』、『夏へのトンネル、さよならの出口』、『ぼくらのよあけ』は「アニメーションで世界を創る」とのテーマで、それぞれの監督による解説も予定する。
 またアニメーション映画の描いた東京を時代の変化と伴に追う「アニメと東京」は、『幻魔大戦』、『メガゾーン23』、『機動警察パトレイバー2 the Movie』、『劇場版 ソードアート・オンライン・オディナル・スケール』の新旧4作品が登場する。またこの部門で毎年取りあげられる特撮は『ウルトラセブン』55周年記念上映をピックアップした。
 映画祭ならのトーク、シンポジウムといった企画も期待されるが、現在はまだ告知されていない。今後の発表を待つことになりそうだ。

 アニメーションは今年は引き続きオンラインでの開催となった併設国際マーケットTIFFCOM2022でも取り上げられる。すでに発表されているのは、日本アニメの海外配信でクランチロールが主催する「クランチロールとファンのつながり方:アニメアワード2023に向けて」。同社プレジデントのラフール・プリーニをはじめ経営陣が勢ぞろいし、かなり力のはいったものになりそうだ。毎年恒例の日本動画協会による「『アニメ産業レポート2022』に見えてくるアニメ最前線」も予定する。
 依然、注目を浴びる配信業界では、国内有数のプラットフォームU-NEXTが、「日本の動画配信市場動向と、変化し続けるU-NEXTの展望」を設けた。こちらも今後、さらなる企画をアップデートする予定だ。

第35回東京国際映画祭
https://2022.tiff-jp.net/ja/
TIFFCOM2022
https://tiffcom.jp/

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