2018年で41回目を迎えた日本アカデミー賞は、3月2日に東京・高輪プリンスホテルにて授賞式を開催した。また各優秀賞受賞者・作品から最優秀賞が、この場で発表された。
このうち最優秀アニメーション作品賞には、湯浅政明監督の『夜は短し歩けよ乙女』が輝いた。アニメーョンの優秀賞には本作のほか、『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』、『ひるね姫~知らないワタシの物語~』、『メアリと魔女の花』、『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』が受賞している。興行の数字だけを見れば、『夜は短し歩けよ乙女』を大きく上回った作品が多いが、最優秀作品の軍配は、『夜は短し~』に上がった。
本作は人気作家・森見登美彦の長編小説を原作に、サイエンスSARUがアニメーション制作、東宝映像事業部が配給した。監督は湯浅政明、脚本に上田誠、音楽に大島ミチルが担当と、実力派が並ぶ。
2010年には同じ森見登美彦原作の兄弟作品『四畳半神話大系』も、湯浅監督の手によりアニメ化されている。こちらは文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞を受賞している。主要スタッフが再集結した『夜は短し~』で、再び大きな賞に輝いた。
湯浅監督とサイエンスSARUは、2017年から18年初めにかけて立て続けに話題作を発表している。17年4月に『夜は短し~』、5月には『夜明け告げるルーのうた』が全国公開された。年明け1月には『DEVILMAN crybaby』が、Netflixオリジナルアニメの目玉として配信が開始された。
すでに『夜明け告げるルーのうた』がフランスのアヌシー国際アニメーション映画祭長編部門でグランプリにあたるクリスタル賞、そして第72回毎日映画コンクールでは大藤信郎賞を受賞している。『夜は短し歩けよ乙女』も、カナダのオタワ国際アニメーション映画祭長編部門グランプリを獲得している。日本アカデミーはこれらに続く大きな賞となった。
日本アカデミー賞は日本アカデミー賞協会が主催、1978年から開催されている。映画関係者からなるアカデミーの会員の投票により、賞が決定する。
アニメーション部門は2007年に新設され、今年で13回目となった。優秀作品賞は全国公開の大作が多く受賞することが多いが、最優秀賞には『時をかける少女』、『鉄コン筋クリート』、『この世界の片隅に』といった中小規模の興業作品も少なくない。今回も公開当初から評価の高かったそうした作品がクローズアップされた。