毎月決まった金額を支払うと、テレビドラマや映画、バラエティ、アニメなどが見放題になる。定額課金見放題サービスは、映像の世界では一般的になっている。複数のサービスが多くのユーザーを集め、市場は急成長している。
そんな見放題サービスが、いよいよマンガの世界にも広がりそうだ。講談社は毎月定額課金で主力のマンガ6誌が見放題になる新サービス「コミックDAYS」を2018年2月15日からスタートすることを明らかにした。月額720円で「ヤングマガジン」、「モーニング」、「アフタヌーン」、「イブニング」、「Kiss」、「BE・LOVE」の最新版が自由に読めるようになる。閲覧可能な作品には『GIANT KILLING』や『亜人』、『ちはやふる』、『海月姫』など人気作品が目白押しだ。
2月15日にまずウェブ版でサービスをスタート。さらに約2週間後3月1日に、アプリ版をリリースする。スマホでは、このアプリを利用する。
契約した最初の月は無料となり、またサービス立上げにあたって人気作品2000話分の読み放題キャンペーンを予定する。講談社が「コミックDAYS」のプロモーションに相当の力を入れていることが判る。
サービス内容も破格の設定だ。「ヤングマガジン」は週刊で1冊324円、「モーニング」と「アフタヌーン」、「イブニング」は月刊でそれぞれ1冊350円と648円、352円となっている。これらの青年マンガ誌だけで、紙雑誌で購入すれが1ヵ月2600円以上になる。これに女性マンガ誌の「Kiss」、「BE・LOVE」を加えるとさらに1000円近くアップ。月額720円の価格設定はかなり割安に映る。
読者から見ると驚きの価格設定には、近年、紙でのマンガ出版を取り巻く厳しい状況がありそうだ。マンガ雑誌の売上高は長期低落傾向が続き、2007年には2204億円あった市場が2016年には半分以下の1016億円まで縮小している。単行本を含めたマンガ全体でも2007年の4699億円に対して2016年は2963億円と落ち込みが大きい。
これに対してデジタルマンガは2007年の355億円から2017年には1711億円と急成長している。新しい読者の獲得を目指すデジタルシフトは出版社の火急の課題だ。
実際に現在は単行本だけでなく雑誌でも、紙とデジタルの同時リリースが広がっている。なかでも講談社は、マンガ誌のデジタル化にいち早く取り組り組んできた。定額読み放題は、そうしたサービスをさらに進めた。
一見大幅ディスカウントに見える読み放題だが、もともとのマンガ読者に対して普段は読まない作品の認知度を上げる狙いも垣間見える。またアニメなどで盛んな映像作品の見放題サービスの人気、普及も背景にあるとみられる。
さらに昨今話題になることが多いネット上の海賊版に対抗する狙いもありそうだ。定額でより早く正規の作品を配信することで、海賊版の優位を突き崩す。アニメにおいては、より早い正規配信が違法配信に対して大きな効果を発揮した。それだけにマンガ誌の大胆な生き残り戦略である「コミックDAYS」の今後に、大きな関心が集まりそうだ。
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