東宝とバンダイナムコが資本業務提携 強者連合でオリジナル企画開発や二次展開

提携

 エンタテインメントの大手2社が手を組む資本業務提携が、このほど明らかになった。映画業界最大手の東宝と玩具・ゲーム・アニメの大手バンダイナムコホールディングスは、2024年8月23日付で資本業務提携契約を締結した。
 提携契約により、東宝とバンダイナムコHDは相互に25億円相当の相手株式保有をする。そのうえでオリジナル IPの企画開発や映像製作、商品・サービス展開に共同で取り組む。株式持ち合い比率は、東宝にとってはバンダイナムコHDの発行済株式の0.13%、バンダイナムコHDにとっては東宝の0.25%と必ずしも高くない。しかし上場企業間の株式持ち合い解消が趨勢のなかだけに、両社の提携に向けた取り組みへの強い意志が感じられる。

 エンタテインメントの大企業同士の資本業務提携はサプライズだが、東宝とバンダイナムコHDのビジネスには強い相互補完関係がある。
 東宝は国内映画配給のシェアで過半を占め、アニメ事業などでも急成長する。しかしアニメ事業の歴史は浅く、ヒット作の多くはマンガ原作などで原著作権を保有しない。中期事業戦略ではオリジナルIP創出を掲げるが、アニメやキャラクターの制作事業は弱く、玩具やゲーム、グッズへの展開も不十分だ。この分野を得意とするバンダイナムコHDに協力を求める理由がある。

 一方のバンダイナムコHDにとっては、東宝の劇場映画の配給力の強さが魅力だろう。バンダイナムコHDはこれまで劇場アニメや実写映画を多く製作してきたが、それらの作品は松竹やショウゲート、自社グループのバンダイナムコフィルムワークスなどが配給してきた。
 昨今、劇場アニメの大型ヒットが相次ぐが、国内映画興行歴代トップ100にはスタジオジブリ、コミックス・ウェーブ・フィルム、東映アニメーション、トムス・エンタテインメント、プロダクションI.G、ufotable、カラー、MAPPA、OLMなどの制作したアニメが並ぶが、バンダイナムコHDが製作、アニメーション制作した作品は含まれない。バンダイナムコHDが今後、劇場アニメの大型ヒットを狙うとすれば、配給における東宝の協力は欲しいはずだ。
 
 それでも今回の提携は、まずは東宝サイドにボールがありそうだ。発表では東宝グループのIP創出や映像製作のノウハウと、バンダイナムコグループの商品・サービスにおけるIP 展開のノウハウを活かすとしているからだ。
 東宝はゴジラなどの特撮を筆頭に多くの映画の権利を保有する。そうした作品のアニメなどの新たな映像展開や商品・サービスなどの二次展開での協力が視野にあると見られる。さらに両社が協力してオリジナル IP の共同開発を目指すことになる。
 オリジナル作品を両社がどう展開するのかも、今回の提携の鍵になる。両社の提携がどこまで広がり、深くなるのかが、エンタテイメント業界の関心を集めそうだ。

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