スタジオジブリと愛知県が、スタジオジブリをコンセプトにしたテーマパークの構想を進めている。愛・地球博記念公園にジブリの作品を保存し、多くの人が楽しめる「ジブリパーク(仮称)」を建設するという計画だ。開発にあたっては、民間企業からも広く参加を募り、2020年代初頭の開業を目指す。
2017年5月31日に両者が合意、6月1日に愛知県から発表された。11月1日には、職員10人から構成される愛知県建設部公園緑地課 ジブリパーク構想推進室も設置された。
スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーも、12月に関係者に送った挨拶状のなかで、「ジブリパーク」の構想について言及した。スタジオジブリと愛知県も構想実現に積極的に動いているようだ。
11月1日のジブリパーク構想推進室の開設式では、大村秀章県知事が看板を設置した。看板の文字はスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーの揮毫によるもので、落款は宮崎駿監督がデザインしている。
推進室ではすでに、公園の利用状況調査や自然環境に関する現状分析、さらに構想の具体化に向けた調査に着手している。さらに民間事業者などとの調整、構想の具体的な内容に関するスタジオジブリとの協議も進める。
ジブリパークのプロジェクトは、かねてより愛知万博とスタジオジブリにつながりがあったことがきっかけになっている。愛・地球博記念公園内には、万博の際に築かれた「サツキとメイの家」が現在も残っている。スタジオジブリの代表作で宮崎駿監督の『となりのトトロ』に登場する主人公たちの家を再現したもので、愛知万博の目玉のひとつであった。
愛知万博10周年の際には園内で「ジブリの大博覧会」も開催されている。こうした関係をさらに発展していくものと見ていいだろう。
また愛知県は、愛知万博は地球に対する「愛」を示したが、ジブリ作品にも「愛」が貫かれており、愛知万博の理念と合致することが理由だともしている。
ファンが気になるのは、やはりパークの内容だろう。6月の発表ではジブリの作品群を保存し、多くの人が楽しめるものとだけしている。愛知県では詳しい内容はこれから詰めていくとする。ある程度まとまった段階で、鈴木敏夫総合プロデューサー、宮崎駿監督、愛知県などにより記者会見にて発表する方向だ。
大村知事は例として「トトロのふるさと村」のようなもの、ジブリの世界を広げていくもの、家族で楽しめるファンタジーの世界の創造を挙げている。また単なるレジャー施設を作ろうとは思っていないともする。 ライド型のアトラクションやライブショー、物販などがフォーマット化した従来型のテーマパークとは異なるものになりそうだ。
現在ライブ型のエンタテイメトが拡大するなかで、国内では東京ディズニーリゾートやユニバーサルスタジオジャパンなど、キャラクターや映画をテーマにした大型施設の人気が高まっている。しかし、これらはいずれも海外の作品・キャラクターを中心としている。
日本には世界的に人気の高いマンガ、アニメ、ゲームやキャラクターが数多い。これらを活用した大型テーマパークの登場を待望する声は以前から大きい。有力コンテンツのひとつであるジブリ作品のパーク構想は朗報だ。
シブリパークはこれまでのテーマパークとかなり違ったものになりそうだが、独自のコンセプトが逆に他の大型施設との差別化につながり、大きな集客力を発揮するかもしれない。国内だけなく、海外にもアピールできることから、今後の動向は大きな関心を集めそうだ。