湯浅政明監督再びグランプリ 「夜は短し歩けよ乙女」がオタワ国際アニメーション映画祭で

オタワ国際アニメーション映画祭

 アニメ監督の湯浅政明が6月のアヌシーに続き、再び国際舞台で大きな賞を手にした。9月20日から24日まで開催されているオタワ国際アニメーション映画祭は、イベントの目玉であるコンペティション部門の各賞を発表。湯浅政明監督の『夜は短し歩けよ乙女』が長編アニメーション部門のグランプリに輝いた。
 オタワには『夜は短し歩けよ乙女』と『夜明け告げるルーのうた』、湯浅監督作品が2本同時出品されていた。このうち『夜は短し歩けよ乙女』がグランプリを受賞した。

 オタワ国際アニメーション映画祭はカナダ映画協会(CFI)が主催し、世界四大アニメーション映画祭のひとつとして知られる。1976年にスタートし、歴史の長い映画祭のひとつである。
 湯浅監督は、今年6月にフランスで開催されたアヌシー国際アニメーション映画祭で『夜明け告げるルーのうた』で長編部門のクリスタル賞(グランプリ)を獲得したばかりである。同じ年に異なる作品で、世界四大アニメーション映画祭のグランプリを相次いで受賞する快挙となった。
 湯浅作品は、10月にロサンゼルスで開催される ANIMATION IS FILM映画祭、スペインのシッチェス・カタロニア映画祭でも『夜は短し歩けよ乙女』と『夜明け告げるルーのうた』がダブルノミネートされている。今後のさらなる活躍も期待される。

 『夜は短し歩けよ乙女』は、作家・森見登美彦の小説を劇場アニメ化した。脚本を劇団ヨーロッパ企画の上田誠、キャラクター原案はイラストレーターの中村佑介と当代の人気クリエイターが制作に参加する。アニメーション制作は『夜明け告げるルーのうた』と同様で、湯浅監督自身のアニメスタジオであるサイエンスSARUである。
 人魚との出会いをきっかけに成長する少年を描いた『夜明け告げるルーのうた』に対して、『夜は短し歩けよ乙女』はアバンギャルドでエッジの効いた演出が魅力。ファッションイラストのようなキャラクターが奇想天外な恋愛ストーリーを繰り広げる。
 オタワの審査委員は、「マニアックな傑作、最初から最後まで予想がつかず興奮させられる」、「独創的で魅力的な映画は、アニメーションのストーリーテーリングを別の次元に引き上げた」と称賛する。

 日本からはこのほか、子ども向けアニメーション部門で宮澤真理の『こにぎりくん』が特別賞のひとつに挙げられている。同作はキャラクターを食べ物で表現したストップモーションで国際的に注目を浴びている。
 短篇部門グランプリ(Nelvana Grand Prize for Independent Short Animation)にはロシア出身でドイツで活動を続けるNikita Diakurの『UGLY』が受賞した。また長編部門特別賞(Honourable Mention)は、米国のClyde Petersonの『TORREY PINES』が決まった。

オタワ国際アニメーション映画祭
The Ottawa International Animation Festival
http://www.animationfestival.ca/

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