小売りテナント運営・ショッピンファイナンスの大手丸井グループが、アニメやサブカルチャーファン向けビジネスを一段と強化する。2019年12月3日、丸井グループは中古ホビーグッズ販売の駿河屋を運営するエーツーに出資、資本業務提携を発表した。また12月4日には、2020年夏放送予定の新作テレビシリーズ『アサルトリリィ BOUQUET』の製作に参加することも明らかにした。
丸井グループは2015年にアニメ事業に本格進出し、2016年にアニメ事業部を設立している。その後、アニメ関連企画イベントやアニメCMなどを製作してきたが、さらにその先に足を進める。
エーツーは静岡市駿河に本社を持つリサイクル販売事業会社として1997年に設立された。コアファンに人気のホビーグッズに強さを発揮する。2018年8月期の売上高は224億円で、なかでも中古ホビーの取り扱う駿河屋はこの分野で業界シェア1位を誇る。
サブカルチャー領域への進出を強める丸井グループが、ロイヤリティの高い顧客を多く持つ駿河屋に目をつけたかたちだ。2018年4月には新宿マルイ アネックスに駿河屋をオープン、今年11月にはマルイシティ横浜にも出店した。資本関係を持つことで、こうした業務関係をさらに密にする。
今後は、マルイやモディへの駿河屋の出店拡大を検討する。さらにウェブ 通販サイト「マルイウェブチャネル」やクレジット機能を持つ「エポスカード」との取り組みも目指す。年明け1月には「エポスカード」と提携した「駿河屋エポスカード」』を発行。2020年春には「マルイウェブチャネル」に駿河屋が出店する予定だが、同サイトでの中古商品の取り扱いはこれが初になる。
さらに駿河屋の行う買取りサービスとの連携も検討する。実店舗だけでなく、ネットやファイナンスなど幅広い提携を念頭に置いている。
出資を受けるエーツーは丸井の様々なネットワークを活用することで、コアファンから一般コンシュマーにリーチを広げることが期待できる。両社の提携は、近年のサブカルチャーの一般層へ浸透を象徴するといえるだろう。
2020年に向けては、丸井グループにもうひとつ大きな動きもある。2019年7月よりテレビ放送を開始する新作アニメ『アサルトリリィ BOUQUET』プロジェクトへの参加だ。アクションドールで人気の「アサルトリリィ」を原作に、メディアミックスで展開する作品となる。アニメーション制作を『魔法少女まどか☆マギカ』や『〈物語〉シリーズ』のシャフトが担当する。
プロジェクトには丸井グループ以外にも、ブシロード、TBS、ポケラボ、シャフト、アゾンインターナショナルが参加している。作品はアニメの他にノベライズや舞台化も決まっている。大型プロジェクトだ。
丸井グループでは2020年2月14日から16日まで、早速本作のポップアップストアを渋谷マルイにて展開を予定する。アニメ『アサルトリリィ BOUQUET』、舞台『アサルトリリィ League of Gardens』のグッズ販売をする。さらにアニメ・舞台の出演キャストの来店イベントを開催するなど、自社の強みを積極的に活用する。
アニメやサブカルチャーをリアルな場と結びつけ多方面に展開する丸井グループの戦略は、2020年にさらに活発化しそうだ。