インターネットのエンタテイメントサービス大手企業DeNAが、アニメ製作に本格進出する。DeNAはアニメ企画・プロモーションの創通、ラジオ事業の文化放送と組んで、オリジナルアニメのプロジェクト「Project ANIMA(アニマ)」を立ち上げた。
3つの異なるジャンルで広く原作を募集し、それぞれの分野でオリジナルのテレビアニメを制作する。2020年の放送を目指す。すでに日本の有力アニメスタジオであるサテライト、ジェー・シー・スタッフ、動画工房の3社のアニメーション制作が決定している。商業デビューを目指すクリエイターからも注目を集めそうだ。
DeNAは1999年に設立、モバイル端末向けにゲームやマンガ、小説、コミュニティサービスなどを提供する。社員約2400名、年間売上高約1400億円の巨大企業だ。これまでも自社ゲームのアニメ化などに出資はしてきたが、今回のプロジェクトはオリジナルコンテンツの創出から手がける。さらに3企画同時進行と大掛かりなものとなる。DeNAのアニメにかける意気込みの大きさが感じられる。
近年、ソーシャルゲームの運営会社では、CygamesやDMM、ミクシィなどの大手が相次いでアニメ製作に乗り出している。DeNAのアニメ製作進出はそれ自体驚きは少ないが、アニメビジネスに長い経験のある創通や文化放送とのタッグ、さらに 人気アニメを輩出する3つのスタジオを起用するなど大掛かりなものとなった。
創通は、アニメの企画・製作、ライセンス事業を主力とする。代表作の『機動戦士ガンダム』は最初のシリーズよりビジネスに関わってきた。現在も年に20タイトル以上の製作出資をし、新たなIP発掘に力をいれる。
文化放送は「A&G」ブランドで、声優・アニソンアーティストのラジオ番組を放送、さらにグッズ販売やイベントにノウハウが高い。アニメのメディアミックスの際に大きな力を発揮する。
DeNAはこうした企業と手を組むことで、リスクが高いとされるアニメビジネスでの成功を目指す。一挙3作品の投入も一見は大きな賭けに見えるが、複数作品への投資によるリスク分散ともなる。IT企業らしい、したたかなビジネス戦略もそこから見える。
募集する原作はマンガや小説といったものだけでなく、いろいろなかたちでのコンテンツを求めている。第一弾は「SF・ロボットアニメ部門」とだけテーマを決めて、小説、脚本、マンガ原稿、ネーム、イラスト、動画などでの応募を可能にする。
応募された作品はDeNA、創通、文化放送、サテライト、ジェー・シー・スタッフ、動画工房が審査をする。第一弾の2018年2月1日から4月15日まで応募を受け付ける。応募の詳細、第二弾、第三弾については今後発表される。
Project ANIMA https://project-anima.jp