毎日映画コンクール アニメーション部門最終選考に短編長編19作が残る

アワード/コンテスト

 2018年で72回目を迎える毎日映画コンクールは、12月14日に今年度の各賞の候補作、候補者を発表した。最終的な賞を決定するための応募作品の絞り込みで、ノミネートの位置づけだ。毎日映画コンクールは日本でも有数の歴史を誇る映画賞で、特別賞を除き6部門20の賞から構成されている。
 このうちアニメーション部門には、短長編を合わせて19作品が挙げられた。他の部門に較べて圧倒的に多い候補作数は、性格の異なるアニメーション映画賞と大藤信郎賞の2つの賞から構成されるためである。学生作品から劇場公開の大作まで、幅広いジャンルをカバーしている。
 前回はアニメーション映画賞に『君の名は。』、大藤信郎賞を『この世界の片隅に』が受賞した。『この世界の片隅に』は日本映画優秀賞、音楽賞も受賞するなど、アニメーション映画の活躍が目立った。しかし、今回はアニメーション部門以外で候補に入った作品はなかった。

 名前の挙がった19作の中から、一年を通じて最も優れた映画にアニメーション映画賞、斬新な表現のあった作品に大藤信郎賞が与えられる。
 しかし、アニメーション映画賞は前回の『君の名は。』を初め、劇場公開した中長編から選ばれている。長編劇場映画が、選ばれると見ていいだろう。今回の最終選考に残った長編は、『傷物語<Ⅲ 冷血篇>』、『きみの声をとどけたい』、『ひるね姫〜知らないワタシの物語〜』、『BLAME!』、『夜明け告げるルーのうた』の5本だ。
 すでに海外でも大きな賞の受賞を重ねる『夜明け告げるルーのうた』、劇場公開と配信の同時スタートをした『BLAME!』など話題作も多い。興行の数字だけでない作品評価が、どんな結果につながるのか注目される。

 大藤信郎賞は、近年は短編重視の傾向を強めている。最終19作品のうち14作品が短編であるのは、こうした事情が反映されているとみられる。しかし、昨年は『この世界の片隅に』が受賞し、さらに過去には海外作品の受賞もあり、より幅広いアニメーションを評価する方向性がある。
 その短編映画も、巨匠・山村浩二の『怪物学抄』から、文化庁の若手アニメーター育成プロジェクトで制作された『げんばのじょう―玄蕃之丞―』、実写も監督する ふくだみゆきの『こんぷれっくす×コンプレックス』など幅広い。
 しかし圧倒的に多いのは、芸術大学・大学院の卒業/修了作品である。14作品のうち、10作品をこれらが占めている。これは日本の若手の才能の豊かさを示すものだ。同時に、国内の一年を振り返った際に2/3以上がキャリアをスタートしたばかりの学生作品であることは、日本の短編アニメーション制作の現場の問題も孕んでいる。豊かな才能が教育機関を出た後も持続的に制作する環境がないというわけだ。そうした背景も含めて、大藤信郎賞の行方も目が離せない。
 
第72回 毎日新聞コンクール
アニメーション部門 最終選考作品

[短編]
『AEON』(宮嶋龍太郎)
『怪物学抄』(山村浩二)
『癇癪だま』(冨田純加)
『観戦』(仲田達也)
『げんばのじょう―玄蕃之丞―』(堂山卓見)
『こんぷれっくす×コンプレックス』(ふくだみゆき)
『Cで失神』(平野正和)
『地獄めたもる』(影山紗和子)
『染色体の恋人』(矢野ほなみ)
『大丈夫だよ』(鈴木沙織)
『Helpless void』(伊藤圭吾)
『松が枝を結び』(村田朋泰)
『闇の絵巻』(髙谷智子)
『YOMTOPIA』(星夢乃)

[長編]
『傷物語<Ⅲ 冷血篇>』(総監督:新房昭之/監督:尾石達也)
『きみの声をとどけたい』(伊藤尚往)
『ひるね姫〜知らないワタシの物語〜』(神山健治)
『BLAME!』(瀬下寛之/静野孔文)
『夜明け告げるルーのうた』(湯浅政明)

関連記事

アーカイブ

カテゴリー

ピックアップ記事

  1. 第5回新千歳空港国際アニメーション映画祭
     2018年11月2日から5日まで、4日間にわたり開催される新千歳国際空港アニメーション映画祭の関連…
  2. 第31回東京国際映画祭
     2018年9月25日に、東京港区・虎ノ門ヒルズメインホールにて、第31回東京国際映画祭ラインナップ…
  3. 広島国際アニメーションフェスティバル
    津堅信之(アニメーション研究/日本大学藝術学部講師)   (1) 日本ゼロのコンペティション …
ページ上部へ戻る