OLM、マレーシアに2Dアニメスタジオ設立 デジタル作画と仕上げが中心

アニメーター

 イマジカ・ロボットグループのアニメ・映像制作のオー・エル・エム(OLM)は、2017年12月にマレーシアのCyberjaya地区にOLM ASIA SDN BHDを設立した。同社のマレーシア法人になる。グループ会社ビラコチャの代表取締役を務める北嶋秀彦氏が代表取締役社長に就任した。
 OLMはこれまでにロサンゼルスに拠点を持つSprite Animation Studiosはあるが、アジア地区での海外子会社は初となる。アニメーション制作の一部をアジアに移す野心的な取り組みになる。

 東南アジアでは、近年、いくつかの日本のCGアニメスタジオの進出が注目を浴びた。OLMも自社内にCGアニメ制作部門を持ち、得意とするが、今回のOLM Asiaは2Dアニメのスタジオとなる。
 新会社はデジタル作画による「動画」、そして「仕上げ」業務を中心とする予定だ。将来的にはアニメ制作のラインを拡大し、専門性の高い業務も出来る体制とする。目指すのはワンストップでアニメーション制作が出来る、総合アニメスタジオのようだ。

 OLMによれば、OLM ASIAはマレーシアで初の2Dアニメスタジオになる。近年、東南アジアでは急激にアニメーションスタジオが成長しているが、CGアニメーションがそれを牽引している。
 そのなかで日本アニメの代名詞にもなっている2Dスタイルのアニメスタジオがマレーシアでどの程度受け入れられるのか、その成果が注目される。OLMは現地でアニメーション制作研修を実施し、人材育成もする。

 スタジオ設立についてイマジカ・ロボットは、国内のアニメーション制作の人材不足を理由に挙げている。現在、日本ではアニメ関連市場の急速な拡大で、アニメーション制作も増大している。OLMにおいても制作受注数は年々増加してきた。
 しかし、深刻な人材不足が大きな課題になっている。人材不足は今後さらに加速すると見られている。OLMはその活路を成長する東南アジア、マレーシアに向けた。
 マレーシアは、東南アジア有数の発展を遂げており、そのなかで政府はクリエイティブ産業の支援に積極的だ。OLMの海外展開とマレーシア政府のそうしたニーズが結びついた。OLM Asiaの設立にあたっては、マレーシアのイノベーショ・知識産業の育成を担う通信・マルチメディア省傘下のマレーシア・デジタルエコノミー公社が支援する。制作の拠点も、アジアのクリエイティブハブを目指すCyberjaya地区とした。

 OLMは1994年設立の国内有力スタジオである。イマジカ・ロボット ホールディングスには2015年に加わり、早くもグループの映像制作の中核企業となっている。
 代表作にはアニメ「ポケットモンスター」シリーズや、「妖怪ウォッチ」シリーズといったヒットがある。しかし、制作では2Dアニメ以外の分野でも積極的だ。子会社のオー・エル・エム・デジタルを通じてCGや実写VFXでも大作、話題作を制作する。ロサンゼルスのSprite Animation Studiosは、フル3DCGで日本トップクラスの技術を持つことで知られる。
 近年はとりわけ手描きアニメの作画を紙と鉛筆でなく、ペンとタブレットを使って描く、デジタル作画の導入に積極的だ。デジタル作画の利点は、素材がデジタル上で作られることからネットを通じてデータが簡単にやりとり出来ることである。OLM ASIAがデジタル作画・仕上げを中心とするのは、たとえ海外で作業をしても、ネットを通すことで動画を日本とマレーシアで容易にやりとり出来ることもあるとみられる。これまで培ってきたデジタル作画のノウハウが活きる。

 今後、アニメ業界のデジタル作画の普及がさらに進めば、OLMと同様にデジタル作画を用いた作画の海外ネットワークの構築を検討する企業は増えるかもしれない。そうした点でも、OLM ASIAの設立は先進的な試みとも言える。

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