カンヌ国際映画祭監督週間に選出、水尻自子「不安な体」プレミア上映

『不安な体』

 水尻自子監督の新作短編アニメーション『不安な体』が、2021年のフランスのカンヌ国際映画祭監督週間にてプレミア上映される。開催は新型コロナ感染症の影響もあり例年より2ヵ月ほど遅めの7月7日から15日まで。それでも昨年は映画祭の多くが中止になっていたため、2年ぶりの本格的なイベントだ。
 監督週間は、例年カンヌ国際映画祭と同時期に開催される。カンヌ国際映画祭より作家性を重視した先鋭的な作品を取り上げることで知られており、カンヌ国際映画祭と伴に映画祭シーズンの両輪となっている。

 『不安な体』を上映するのは短編部門だ。実写やアニメーションに捉われない部門だけにエントリー作品の数は膨大で、その中からの選出は本作への評価の高さを示すものだろう。
 監督の水尻自子は、1984年青森県十和田市生まれ。体の一部や身近な物体をモチーフに時には生々しい触感的な動きをアニメーション表現することで、注目を浴びてきた。文化庁メディア芸術祭アニメーション部門 新人賞のほか、ベルリン国際映画祭短編コンペティション選出など国内外で評価を積み重ねてきた。 
 『不安な体』は長さ5分47秒、水尻は監督のほか絵コンテ、アニメーション制作、編集も自身で手がけ自身の持ち味を充分に込めた。音楽は本田ゆかが担当する。

 製作体制も意欲的だ。日本のアニメーション会社ニューディアーとフランスのMiyu Productionsが国際共同製作する。両社はいくつもの共同プロジェクトを持っており、今回はその完成第一弾になる。冠木佐和子、和田淳、平岡政展、折笠良らがそれぞれ監督するアニメーション作品も製作中で、今後順次発表されるが、共同プロジェクトのよいスタートを切った。
 同時に本作は、水尻の出身地にある十和田市現代美術館が企画展「Arts Towada十周年記念「インター + プレイ」」展第3期への出展作品として制作を依頼したコミッション作品でもある。日本のプレミア上映は、22年1月からの「インター + プレイ」展第3期を予定している。

『不安な体』(Anxious Body)
(2021年/フランス=日本/5分47秒)
監督・絵コンテ・アニメーション・編集: 水尻自子
音楽: 本田ゆか
5.1chミックス: オノセイゲン
プロデューサー: エマニュエル=アラン・レナール、ピエール・バウアッソン(以上Miyu Productions)、土居伸彰(ニューディアー)
コミッション: 十和田市現代美術館

十和田市現代美術館 企画展 Arts Towada 十周年記念「インター + プレイ」展 第3期 
https://towadaartcenter.com/exhibitions/artstowada10th-interplay-003/

『不安な体』予告編

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