2016年8月に国内公開、興行収入が日本映画第2位となった新海誠監督の劇場アニメ『君の名は。』の大きなニュースが発表された。2017年9月28日、東宝は『君の名は。』の実写映画の開発が米国で進んでいることを明らかにした。
発表によれば、ハリウッドメジャーのひとつパラマウント・ピクチャーズと企画・プロデュース会社のバッド・ロボット、そして東宝が共同で開発している。プロデュースはバッド・ロボットのJ.J.エイブラムスとリンジー・ウェバーが担当し、脚本には『メッセージ』、『ライト/オフ』などのエリック・ハイセラーが決まっている。ハイセラーは『エルム街の悪夢』リブート版、『遊星からの物体X』の前日譚『遊星からの物体X ファーストコンタクト』でもお馴染みだ。
東宝からはアニメ版のプロデューサーを務めた川村元気が、作品開発に参加する。川村によれば、今回の実写化プロジェクトは、J.J.エイブラムスの強い要望により実現したという。バッド・ロボットは1998年にJ.J.エイブラムスとブライアン・バークが設立した。これまでに『クローバーフィールド』、『スター・トレック BEYOND』などの数々のヒットがある。
製作に参加するパラマウント・ピクチャーズは全世界で映画配給をしているが、本作では日本配給を東宝が担当する。映画配給では珍しいケースだが、東宝は2104年の『GODZILLA ゴジラ』でも世界配給はワーナー・ブラザースだったが、国内は自社配給としている。
東宝は現在、日本のコンテンツに基づいた海外との共同製作やリメイクのための専門チームを社内に立ち上げている。今後も『君の名は。』に続くプロジェクトを目指す。これまでは大企業ではあるが、ドメステックと見られていた東宝がグローバル企業に変れるかの日本IPの活用は、海外展開の鍵を握りそうだ。
日本のコンテンツのハリウッド実写化はこれまでも多く発表されているが、実際に完成まで辿り着くものは限られている。では、今回の『君の名は。』の実現性はどのくらいだろうか。
実写化企画の発表はプロデュース会社の映像化オプションといった初期段階のものが少なくない。しかし、今回は大作映画の鍵を握る配給としてパラマウントの名前が挙がっているのが大きい。また脚本も決まっている。ここまでですでに一段階進んでいる。後は、監督と出演者が決まり、さらに撮影に入ればほぼ完成が見えてくる。
しかし、本作ではプロデュース、製作・配給、脚本に大物の名前がでており、これが大きな推進力になるだろう。さらに日本映画としては海外で最大のヒット作、そして原作アニメが、現在世界で注目される中国で大ヒットしている。グローバルでかなりのヒットの期待値はかなり大きいだろう。実写完成の可能性は大きいと言っていいだろう。