エンタテイメント事業のマーベラスが7月31日に発表をした2021年3月期第1四半期の決算は、オンライン事業の好調に支えられた。売上高は前年同期比3.3%増の46億6800万円であったが、利益の伸びが大きかった。営業利益は8億9000万円(34.4%増)、経常利益は8億9100万円(44.1%増)、当期純利益は5億9300万円(72.8%増)だ。
全体を牽引したオンライン事業は売上高が20億6800万円(24.7%増)になったほか、営業利益は5億8200万円(77.4%増)だった。既存のスマホアプリゲームが好調で『シノビマスター 閃乱カグラ NEW LIN』、『剣と魔法のログレス いにしえの女神』といった継続タイトルがコラボなどを中心に売上げを伸ばした。新作でも2020年5月に配信をスタートした『一騎当千エクストラバースト』が順調だとしている。
一方で『ガール・カフェ・ガン』は、2020年7月22日に開発元である中国企業Seasun Gamesの日本子会社・西山居へ運営を移管した。タイトルの選択と集中を進める。
コンシュマー事業は、新型コロナウイルス感染拡大に影響を受けた。緊急事態宣言による店舗休業などで主力のキッズ向アミューズメントマシン「ポケモンガオーレ」などの収入が落ち込んだ。
ゲームソフト販売部門では利益率の高いリピート販売、Steamサマーセールを通じた米国向け販売が好調だったが部門全体のカバーに至らなかった。売上高は16億2300万円(7.8%減)、営業利益が4億4200万円(12.7%増)だ。
音楽映像事業は厳しかった。売上高は9億7700万円(11.0%減)、営業利益は2億8000万円(18.5%減)だ。各種延期や中止など新型コロナウイルス感染拡大の影響が出ている。
アニメではテレビシリーズ『ミュークルドリーミー』が一部放送を延期、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』は放送開始を4月から7月に延期、映画では『映画プリキュアミラクルリープ みんなとの不思議な1日』を公開延期した。これに伴い関連商品の発売も延期している。
ステージ制作部門では、「ミュージカル『薄桜鬼 真改』相馬主計 篇」、「ミュージカル『テニスの王子様』 コンサート Dream Live 2020」、「『ダイヤのA』 The MUSICAL」、「舞台『刀剣乱舞』綺伝 いくさ世の徒花」の公演を中止している。このうち『薄桜鬼 真改』と『テニスの王子様』の「Dream Live 2020」については、前期に公演中止による特別損失をすでに計上している。
新型コロナウイルス感染拡大があったにも関わらず業績の堅調を持したが、マーベラスは今後の見通しについては慎重である。現時点で新型コロナウイルスによる影響を合理的に算定できないとして、通期業績見通しの開示を見送った。今後、開示が可能となった時点で公表する予定だ。