2023年10月3日、映画興行大手のTOHOシネマズは、映画配給会社との取引について公正取引委員会に排除措置計画(確約計画)を提出し、認定を受けたことを明らかにした。TOHOシネマズは、2022 年3月より公正取引委員会により拘束条件付取引の規定違反の疑いで調査を受けていた。
調査の結果、規定違反とはされなかったものの、TOHOシネマズは確約計画を提出することで競争環境の回復を図ること確約した。公正取引委員会は確約計画を認定することで調査を終了した。
映画興行では、作品を配給する配給会社が映画館を運営する興行会社と契約することで映画上映が可能となっている。興行会社は映画ビジネスの中でも、もっとも観客に近いポジションにある。
興行会社のなかでもTOHOシネマズは、国内有数の映画興行チェーンで全国に共同運営を含めて75の映画館を持ち、スクリーン数は約700になる。また駅前や繁華街など集客力の大きな立地が多く、売上シェアが高い。さらに自社以外の33の興行会社から47の映画館の番組編成業務も受託している。
今回、調査となったのは、配給会社が上映映画館を決定する際の取引になる。公正取引委員会の指摘によれば、TOHOシネマズは出演者の舞台挨拶などを実施するメイン館を定める際に、自社に最初にオファーすることを要請していた。また自社映画館がメイン館になった場合はTOHOシネマズが指定した他の興行会社の映画館へのオファーを見合わせることを求めた。そのうえで要請に応じない場合は、今後の作品上映をしないと伝えたとしている。
TOHOシネマズはこの指摘に対して、行為の取りやめを確約する計画書を提出した。今後はこうした行為をしないことを配給会社に通知すると共に、自社従業員に周知徹底し、今後3年間、公正取引委員会に実施状況を報告する。